渋滞もなんのその! 救急医師のための専用自転車が登場。
大都市の例にもれず、渋滞に日々悩まされているパリ。特にイダルゴ現市長が自転車レーンの整備に力を入れ始めてからは、進まないクルマの脇を自転車がすいすいと走り抜けるのが日常の風景になった。
そんな中、自転車移動の普及を進めるエコックス社が自転車メーカーのアーバン・アロウと協力、救急往診する医師のための電動自転車をつくり上げた。その名も「エマージェンシー・バイク」。ハンドルの前には容量150リットルの保冷容器が設置され、医療器具や薬品を収納。一回の充電で16キロ走行でき、フランスの救急カラーである白とブルーで彩られた目立ちやすい車体だ。
製作に携わったパリ救急医師会(UMP)は、40名の常駐医師と20名ほどの協力医師を要する、24時間365日体制の救急医師会。ウェブサイトと電話を通じて往診を行っており、1日の往診回数は200から250件に及ぶ。渋滞に巻き込まれると往診先にたどり着けないケースもあり、1日に20キロは移動するという医師たちにとってクルマ移動は悩みのタネになっていた。このエマージェンシー・バイクは9月から利用が始まり、医師たちから「渋滞のストレスから解放され、1日の移動時間が1時間は短縮された」との声が上がっている。その1時間があれば、診ることのできる患者が2、3人増えるという。パリを走るエマージェンシー・バイクは今後ますます活躍しそうだ。