独創的な革で魅了する、深青色のクロノグラフ
岩崎 寛(STASH)・写真photographs by Hiroshi Iwasaki
並木浩一・文
text by Koichi Namiki
ウブロは、スイス時計屈指のスーパースターだ。常識を覆すセンスと技量は、高級腕時計の保守的ファンに対しても、「ファッショナブル」が褒め言葉であることを認めさせる。そのウブロがパリの革製品メゾン、ベルルッティと協働するモデル製作を開始したのが2016年のことだ。魅惑の最新作「クラシック・フュージョン クロノグラフ ベルルッティ スクリット ブルー」は、100本だけの日本限定である。
ベルルッティがきわめて個性的な技術を駆使するブランドであることは、ファッション通ならよく知っている。イタリア人を創始者とするブランドが使いこなす名高い素材は「ヴェネチアレザー」。独特の光沢を秘めたそのマテリアルを自社工房でなめし、「パティーヌ」と名付けられた独特の染色を施す。染料とオイル、異なるテクニックと加工を何度も繰り返すパティーヌの仕上がりは、独創的なグラデーションを見せ、ひとつして同じものがない。その革に焼き印、絵や文字を描くタトゥーイングの技術も特徴だ。
それら技術がまるごと「クラシック・フュージョン」に採用された。大胆で上品なチタンケースがどこにもない革のコスチュームで装う姿は、特別で格別だ。採用されたのはパティーヌ染色のヴェネチアレザー製品の中でも、特に人気の「スクリット」ラインのスタイル。カリグラフィーで表面を仕上げた革が、ストラップから文字盤に越境する。ホット・スタンピングのインデックスやブランドロゴにカリグラフィーの文字が交錯するダイナミズムは、スリリングで刺激的だ。
ディープブルーの逸品は、昨年オープンした祇園のブティックはじめ、日本のみで販売する。ベルルッティの本拠地、パリでも買えないベルルッティ。ウブロが生み出したのは、世界の目が極東に向く羨望の腕時計なのである。
クラシック・フュージョン クロノグラフ ベルルッティ スクリット ブルー