復活したオーストリアの名門「カール・スッキー&ゾーネ」は、秒表示がワルツを踊る⁉
時計といえばスイス、近年はドイツも人気ですが、19世紀のウィーンにも宮廷で愛された唯一の高級ブランドがありました。「カール・スッキー&ゾーネ」。オーストリア・ハンガリー帝国の解体によって1918年から休眠状態でしたが、2016年に同地で復活。創業年の1822年にちなんで限定22本で製作されたファーストモデル「ワルツNo.1」のセカンドシリーズが、今年から日本に初上陸しました。
薄型のスレンダーなケースに、バーインデックスと細身の2針で構成されたミニマルなデザインですが、ダイヤルの緻密な装飾模様と6時位置のディスクに際立った特徴があります。ダイヤルの右半分は横方向のストライプ、左側は縦方向と分かれており、6時位置のディスクも同じパターン。このディスクはスモールセコンドと同じく秒のモニターであり、1分で1回転します。このため、装飾模様も1分間に1回だけダイヤルと完全に一致する瞬間があるのです。これは19世紀のウィーンで流行した三拍子の優雅なワルツの円舞をイメージしており、「ワルツィング・ディスク」と名付けられています。急ぐことなく流れる時を楽しもうという、当時の文化や精神性を表現しているそうです。
ムーブメントは評価の高いスイスの専業メーカー、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエが製作。ゴールドプレートのマイクロローターによる極薄自動巻きキャリバーを搭載しています。
ブランド名にあるカール・スッキーは、オーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフ1世や、皇后のエリザベートに仕える宮廷時計師でした。その息子たち(ゾーネ)とともに製作してきた懐中時計は高い品質、精度、エレガンスで知られており、精神分析の父とされるジークムント・フロイトもベスト着用時はポケットに入れていたそうです。
爛熟期のウィーンで人気を博したブランドだけに、歴史的な背景は奥行きがあり、今後もさまざまなエピソードが明かされていくかもしれません。
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