欧州からきたプレミアムEVの最前線「アウディe-tron 50」に詰ま...

欧州からきたプレミアムEVの最前線「アウディe-tron 50」に詰まった”いま”とは

文:小川フミオ

従来のSUV的なスタイリングが、e-tronの特徴といえる。

昨今は内外でピュアEVが続々登場している。どのメーカーも、2030年をマイルストンとして、そのときにはラインナップすべてを電動化する、などとしている。そこにあって、プレミアム市場でひときわ気を吐いているのが、アウディだ。同社のピュアEVといえば、2018年に第1号が「e-tron(イートロン)」。そのあと、続々と新型EVを送り出している。日本には20年にまず「e-tron55スポーツバック」が上陸。21年にはやや買いやすい価格の「e-tron 50(SUV)」と同じパワートレインでややスポーティなルックスの「e-tron 50スポーツバック」が導入された。これがアウディ製EVの”いま”である。

前後長の長いルーフを活かしたSUVのデザインゆえ荷室容量は660リッターと大きい。

ここで取り上げるe-tron 50は、トランク容積をあえて大きくとったSUVスタイルをもつ。機能性とともに、スタイリッシュさを強く意識するアウディだけあって、トランク容積の大きなSUVであっても、雰囲気は躍動感がある。クルマ好きに刺さるスタイルだ。加えて内装の作りがよい。各スイッチやコントローラーの操作感がよいことに加え、音や手触りなど、品質感が高い。ドアの開閉音からオーディオまで、オーナーになると、乗るたびに感じる魅力である。

ホイールベースは2930ミリと長く居住性も高い。

もうひとつ、e-tronといえば、力強い走りが印象に残るクルマだ。e-tron 50の電気モーターは、230kWの最高出力と540Nmの最大トルクを発生。EVは走り出しから力強い加速感を特徴とするもので、そのよさがつよく感じられるのだ。思い返すと、50よりパワフルなe-tron 55スポーツバック(出力は300kW)が日本市場に導入され、自動車ジャーナリストに乗るチャンスが与えられた20年秋。みなが口をそろえて言ったのは、”楽しい”というシンプルだけれど、じつにわかりやすいひとことだった。バッテリーという重量物を床下に入れたことで重心高が下がり、結果、高速道路の車線変更時などクルマの動きがいい。

1 / 3p