君と執事と赤のイタリアン!? アルファ ロメオ初のSU...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第69回 Alfa Romeo Stelvio / アルファ ロメオ ステルヴィオ

君と執事と赤のイタリアン!? アルファ ロメオ初のSUV、ステルヴィオは軽井沢が似合います。

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

インテリアの本革シートとナチュラルウッドの風合いは、ステルヴィオのキャラクターにぴったり。フロントウィンドウの視界狭めでウェルメイドな走りのよさは、“君”のためにあるって感じ(笑)。

前回のマセラティ レヴァンテの余韻もそのままに、アルファ ロメオ初となるSUV、ステルヴィオに乗ってきました。イタリアの走り好きの聖地、ステルヴィオ峠に由来する名前をもったこのSUVの売りは、やっぱり走り。実車のデザインはシンプルで、どちらかと言うと癒し系だよね(笑)。アルファ ロメオは、びっくりするぐらいシンプルなデザインを選択する時があって、ステルヴィオもそんな感じ。それがいつのまにか156みたいに定着したりもするから、ある意味アルファ ロメオらしいと言えば“らしい”のかも。デザインの意図を全部わかりやすい言葉にしてプレゼンしている、昨今のSUVデザインにあってアンチテーゼって感じもするね。

この癖のないデザインは逆に、走りへの自信ともとれる。ステルヴィオはアルミニウムを中心に、カーボン素材を組み合わせて設計されている。ボディの車重は1,660kg(欧州仕様参考値)でクラス最軽量。50対50の理想的な前後ウェイトバランスで、アルファ ロメオQ4と呼ばれるトルクベクタリングシステム(前後左右でトルクバランスを調整する)をもった4輪駆動システムを搭載しているのね。いちばんよかったのは、このQ4システムにダブルウィッシュボーンとマルチリンク方式を組み合わせた、アルファリンクサスペンションのしなやかな足まわりの気持ちよさ。カーブでロールさせない踏ん張りと粘りに驚くし、腰高なSUVとは思えない安定感。でもレールに乗っているような安定感とも違っていて、スポーティな硬い足まわりによるものではないんだ。

その感じは「柔よく剛を制す」(笑)。実際、癖になるんだよね。その乗り味にクイックなハンドリング性能と280馬力の直列4気筒ターボの組み合わせで、まさに軽井沢のような避暑地での足にはうってつけって感じだったね。SUVとは言えオフロードで使うクルマではないっていう割り切りは、むしろこの時代は積極的にしていくべきなのかも。惜しむらくは、排気音とかもっとスポーティな演出があってもよかったかもなぁ……。だってアルファ ロメオですよ!? 素でウェルメイドな走りのよさもいいけれど、アクセル開度に合わせた音の演出とか欲しかったよね。そもそもアルファ ロメオは、この手の演出が上手いわけ。

よくも悪くも本来の走行性能以上の高まりを感じさせるのが上手いし、そこがイタリア車らしくて好ましかったんだ。つまりステルヴィオには「ハッタリかましてきたな」みたいなところがない(笑)。バリバリにスポーティな仕様はこれから出る、2.9ℓのV6ツインターボを搭載したクアドリフォリオに期待するとして、逆にこのモデルのもつ癖のないデザインに、それと感じさせない身のこなしって、特にクルマが好きでもない女性にも受けがよさそうだったね。軽井沢ライフで言えば、「今日は私が」とハンドルを握る君(若奥様)がイメージしやすかった。「奥様、今日も素敵ですよ」とか言う執事になりきりたいっていうかね、助手席で。

アルファ ロメオ ステルヴィオ
●エンジン:2.0ℓ直列4気筒ツインスクロールターボ
●出力:280PS
●トルク:400Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:¥6,890,000(税込)~

問い合わせ先:アルファ コンタクト
TEL:0120-779-159
www.alfaromeo-jp.com