“幻の時計”が日本に再上陸、イタリアン・ウォッチ「ユーボート」の伝説とは?
超大型のリューズを通常とは逆のケース左側に配置。シャープに面取りしたベゼルが取り囲むのは、要所を固定するビスが印象的なブラックスケルトンのダイヤル。ユーボートの新作「クラシコ チタニウム/タングステン スケルトン」は、ひと目見たら忘れられない強烈な存在感を放っています。
それもそのはずで、由来は1940年9月に締結された日本とイタリア、ドイツ三国間の軍事同盟にまで遡ります。イタリアの時計ブランドであるオフィス・フォンタナは、イタリア軍航空部隊のパイロットとドイツ軍の潜水艦部隊Uボート乗員のための軍用時計開発に着手。42年には完成直前にまで至っていましたが、戦局の急速な悪化で生産されることはありませんでした。
この“幻の時計”を現代に復活させたのが、オフィス・フォンタナの創立者の孫にあたるイタロ・フォンタナです。およそ60年を経た2000年に時計ブランドとしてユーボートを設立。当時の設計図やデザイン画などを参考にして、ミリタリーウォッチをルーツとする高度な実用性と、ダイナミックなイタリアン・デザインを融合した各種のコレクションを精力的に発表してきました。
実用性から紹介すると、前述した左側の大型リューズは手首を痛めないための工夫です。これはコレクション共通の特徴ですが、3~4時位置にリューズを配置したモデルもあります。日付表示が変則的な9時位置にあるほか、リューズの上部にあるボタンがクロノグラフのリセット、リューズガードに隠れた8時位置のボタンがスタート/ストップと、通常とは真逆になっていることから、ムーブメントを180度回転させていると思われます。自動巻きなので、実際にリューズを使用するのは時間修正くらいで頻度は少なく、クロノグラフも右手の人差し指でなく親指で操作できるため、むしろ実用的な配置といえるかもしれません。
ちなみに、大型リューズに見える部分はネジ込み式のカバーであり、これを完全に外すことで、内部の本当のリューズを操作することができます。前述のクロノプッシャーは、リューズガードを装着したままでスタート/ストップが可能。美しい輝きを放つベゼルも、硬度の高いタングステンカーバイド(炭化タングステン)を使用しているので、少しばかりハードに使い倒しても傷がつきにくいという特性があります。
こうした実用性に加えて、直径45㎜のチタンケースはエッジの効いた円筒形で、ダイヤルは奥行きを感じさせるマットブラックのスケルトン。歯車を複雑に組み合わせたメカニカル特有の魅力を堪能することができます。スリム&コンパクトという近年の時計トレンドにあえて逆行する、圧倒的なボリューム感に心惹かれるモデルです。
今年4月からユーロパッションが日本総代理店業務を再開。このモデルをはじめとするユーボートの豊富なコレクションが、有名百貨店や時計店を中心に展開される予定です。
問い合わせ先/ユーロパッション TEL:03-5295-0411