メカ好きの心を満たすのは、マットなセラミックか輝くSSか。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

メカ好きの心を満たすのは、マットなセラミックか輝くSSか。

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BELL & ROSS
ベル&ロス

ベル&ロスの角型は、ずっと男心をそそってきた。もとはといえば、飛行機のコックピットクロック。そのスピリットだけでなく形象もまるごとデザインに呑み込んでみせた、大した度胸の産物だ。そこが、メカも飛行機も大好物のハードボイルドな心情に火を点ける。アイコニックな4点ビスは、この腕時計を“男気”にも留めているのだ。
近い将来には「ベル&ロスの腕時計のような計器が、昔の飛行機にはあった」と言い伝えられるのだろう。ブラックの「BR03‐92」は、硬質でタフな計器の魅力を直接的に受け継いだモデルである。マットブラックのケースはスチールではなく、航空機素材にも多用されるセラミックにインテグレートされた。デイト表示を全体の面積から必要最小限度に抑えた文字盤は、ひたすらクール。ミリタリースペックでアヴィエーション用途の時計の本義は「視認性」「機能性」「信頼性」「高精度」なのだ。どこまでもストイックな腕の上のコックピットクロックには、ラバーとファブリックを合わせたヘビーデューティなストラップが似合う。
一方、マットブラックのモデルとは一線を画し、スタイルを徹底的に磨き上げたのが「BR05」のブレスレットモデルである。サイズを40㎜に切り詰めた一体型ケースはポリッシュとヘアラインとに仕上げ分けられ、絶妙な立体感を演出しながらブレスレットにシームレスにつながる。文字盤はサンレイ仕上げで、抑制の効いたシャイニーな輝きを見せる。ケースバックはサファイアクリスタル製で、ウエイト上にブランドロゴを刻んだ全円ローターを見せる趣向も楽しい。
言ってみれば、都会のシーンにもとことん似合う腕時計。同じ操縦席をルーツとしながら、ベル&ロスの2モデルは、好対照の好一対を描くのである。

  • BR03-92 ブラック マット

    自動巻き、マットブラックセラミック製ケース、ケース径42㎜、針・インデックス・数字にスーパールミノバ夜光、反射防止サファイアクリスタル風防、ブラックラバー+シンセティックファブリック製ストラップ、100m防水。¥478,500(税込)

  • BR05 ブラック スティール

    自動巻き、サテン/ポリッシュ仕上げステンレススチール製ケースとブレスレット、ケース径40㎜、サンレイ仕上げ文字盤、反射防止サファイアクリスタル風防、サファイアクリスタル付きシースルー・ケースバック、100m防水。¥605,000(税込)

ベル&ロス ジャパン TEL:03-5977-7759

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