機械式時計とタッチパネル、 “ハイ&ロー”を融合したソニー「wena 3」
2016年に登場したソニーのスマートウォッチ「wena wrist(ウェナリスト)」。一般的なスマートウォッチとは違い、バンドにスマート機能を取り入れるという発想が面白いデバイスだ。今年、第3世代となる「wena 3」が登場した。
私はこれまで取材してきたなかで、この企画ほど機械式腕時計ユーザーの心をつかむものはないと思っていた。そもそも開発者の對馬哲平自身が機械式腕時計マニアなのだ。
「学生時代は機械式とスマートウォッチを両腕に着けていたほど。両方の合体を実現できそうな企業を探してソニーを選んだのです。入社研修では試作機をつくっていました」
そんな男が、自分が使いたいという意思でモノをつくるのだから、並のスマートウォッチになるはずはない。その想いが反映された言葉が「wear electronics naturally(wena」というわけだ。
16年発売の第1世代の表示はLEDの点滅のみ。17年の第2世代には小さなディスプレイを搭載。今回の第3世代ではデザイン性とスマート機能を格段にアップデートした。
これまではバンドのコマに電子部品を分散させていたため、デザインには限界があった。しかし今回はバックル部にタッチディスプレイを搭載し、その裏側にすべての機能を集約。これによりバンド部のデザインの自由度は飛躍的に高まった。メタル、ラバー、レザーの3つのバンドのオプションを用意。時計メーカーとのコラボも続々発表されている。
バックル部に機能を集めるのは想像以上に困難だ。ディスプレイを湾曲させ、その背面に基板やバッテリーの凸凹を利用して、隙間がまったくないほど3次元的に高密度に実装した。その上、第2世代のバックルより2.5mmも薄くし、厚みを6.9mmまで縮小。小型、薄型が得意なソニーでなければ不可能な芸当だ。
スマート機能も大幅に拡充。これまでは、バンドに着信表示機能を入れた程度で、正面を切って先発のスマートウォッチに対抗できるとは言い難かった。しかし第3世代になって、堂々と正真正銘のスマートウォッチだと胸を張れるようになった。
その最大のトピックがスイカでの決済対応だ。これまでも数々の電子マネーには対応していたが、今回スイカの搭載により、さらに利便性が向上した。先発のスマートウォッチでは改札口で時計本体をタッチするため手首を捻る必要があったが、ウェナ3では手を差し出せばスムーズにタッチできるのもスマートだ。
またセンサーによる歩数、心拍数、睡眠、最大酸素摂取量の活動ログ、アレクサ搭載……など、スマートウォッチとしての機能も充実。時計文化を尊び、好きなタイムピースとともにスマート生活を送りたい諸兄に最適なギアだ。
バックルは湾曲させた基板やバッテリーで構成。外殻の金属ケース自体をアンテナとすることで薄型化に成功した。
Sony wena 3 http://wena.jp