目を奪うのは“岩手山パターン”の黒か、初の“雪白ブルー”か
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

目を奪うのは“岩手山パターン”の黒か、初の“雪白ブルー”か

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GRAND SEIKO
グランドセイコー

グランドセイコーが、いきなり欲しくなる。そんな腕時計ファンも少なくないのではないか。もちろんムーブメントはクオーツ、手巻きと自動巻きのスプリングドライブ、同じくメカニカルがあり、サイズも豊富だ。中身も仕上げも超一級の、日本を代表する高級腕時計は、選択肢の構えが広い。その一方で最近の「GS」には、中身や仕上げの優秀さだけでなく、ひと目惚れを誘うような一種の色気を備えたモデルが、不意に登場して我らの意表を突くのである。その好例が「SBGA407」。GSで初めての“雪白ブルー”文字盤を与えられたモデルだ。
文字通りホワイトの「雪白」は、既に人気の仕様であり意匠だ。スプリングドライブの故郷、信州の山々に降り積もる雪に刻まれた風紋をイメージした模様は、GSのひとつの原風景である。和紙のよう、とも評される独特で繊細なテクスチャーは、日本の美意識の中心を貫く。
その無彩の美の真骨頂が初めて色彩を得たのが、雪白ブルーなのである。透明度が高く奥行きのある青色はクラシックスタイルと調和し、凛とした美しさと気品を同居させる。袖口からのぞく姿は一見、いままでのGSと異なりながら、間違いなくGSらしさをとどめているのである。粋な小技は、青に藍を重ねるブルースチールの秒針と、彩度を切り替えるパワーリザーブ表示だ。
比べてみたくなるのは、シックな黒文字盤に赤のGMT針を合わせたモデル「SBGJ203」である。ブラックの文字盤に刻まれたのは、“岩手山パターン”。機械式GSの製造を担う雫石高級時計工房から望む風景を、自動巻きメカニカルハイビート搭載モデルに写し取った。
性能に優れ、仕上げを極め、スタイルを堅持する高級腕時計。理屈で納得できるそうした理由だけでなく、GSは一瞬の見え方だけでもいま、人を魅了する。


  • SBGJ203

    自動巻き、9S86ムーブメント(平均日差+5秒~−3秒)搭載、ステンレス・スチール、ケース径40㎜、ケース厚14㎜、パワーリザーブ約55時間、GMT(デュアルタイム表示)、サファイアガラス製シースルーバック、10気圧防水。¥737,000(税込)


  • SBGA407

    スプリングドライブ自動巻き、9R65ムーブメント(平均月差±15秒)搭載、ステンレス・スチール、ケース径40.2㎜、ケース厚12.8㎜、パワーリザーブ表示(約72時間)、サファイアガラス製シースルーバック、10気圧防水。¥682,000(税込)


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