“故あって大型”を選ぶなら、洗練のドレスかタフなパイロ...
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

“故あって大型”を選ぶなら、洗練のドレスかタフなパイロットか。

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IWC
アイ・ダブリュー・シー

腕時計サイズの主流が40mmを超えたのは、今世紀が始まる頃のこと。それは流行の要請であったのだが、IWCはそれとはまったく異なる文脈で大型時計をつくり続けている。
いまも昔も熱狂的なファンの支持を受けるIWCは、きわめて珍しいドイツ語圏スイスにある高級腕時計ブランドだ。創業地シャフハウゼンを離れることなく、フランス語圏スイスに集中する高級ブランドの圧倒的な勢力と伍する立ち位置。他にはないファンを呼ぶ理由のひとつは、このブランドこそが大型腕時計のサイズを決めた存在であることだ。
「ポルトギーゼ」は1930年代、二人のポルトガル人(ポルトギーゼ)時計商の求めに応じて誕生した腕時計である。彼らが要求した「マリン・クロノメーター級の精度をもった腕時計」という無茶に応えるために、精度に優れた懐中時計用のムーブメント“キャリバー74”採用の離れ業で、望み通りの精度を実現した。「ポルトギーゼ」は、精度のために大型化した初めての腕時計なのである。
長い年月ののち歴史は繰り返し、2002年にIWCは、「ビッグ・パイロット・ウォッチ」を世に出した。その名の通り規格外れの大型腕時計は、精度と性能に胸を張った。それは、必要のために大きくなることに、誇りを見出した時計の末裔なのである。そのサイズは、タフでソリッドな腕時計の最大の特徴であり、最良の長所にほかならない。
現在、名高い7日巻きの“50000系”ムーブメントを同じく積みながら、大型ドレスウォッチの「ポルトギーゼ・オートマティック」はますます洗練の度を増し、シースルーバックからはゴールド製メダルを配したローターを覗かせる。一方、「ビッグ・パイロット・ウォッチ」は、耐磁性軟鉄製インナーケースでムーブメントを包み、磁場から厳重に守る。性格の違う兄弟は、どちらも個性を譲らない。

  • ビッグ・パイロット・ウォッチ

    自動巻き(IWC自社製キャリバー52110)、ステンレス・スチール、ケース径46.2mm、パワーリザーブ168時間、耐磁性軟鉄製インナーケース、日付・パワーリザーブ表示、ドーム型サファイアガラス、カーフ革ストラップ、60ⅿ防水。¥1,600,500(税込)


  • ポルトギーゼ・オートマティック

    自動巻き(IWC自社製キャリバー52010)、18Kレッドゴールド、ケース径42.3mm、パワーリザーブ168時間、サファイアガラス製シースルーバック、日付表示、ドーム型サファイアガラス、アリゲーター革ストラップ、30ⅿ防水。¥2,766,500(税込)

アイ・ダブリュー・シー TEL:0120-05-1868

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