「カリテフルリエ」の認定を得た、品格を醸す中三針。
岩崎 寛(STASH)・写真photographs by Hiroshi Iwasaki
並木浩一・文
text by Koichi Namiki
「カルパ」はパルミジャーニ・フルリエにとって思い出深いコレクションだ。天才時計師ミシェル・パルミジャーニが、自らの名前を冠したブランドを率いて2年目に誕生した、意匠も技術も伸びやかな作風のマスターピース群。それを今年、一から見直した。新シリーズには毎秒10振動のクロノグラフ、8日巻きの超ロングパワーリザーブモデルといった話題作が顔を揃えたが、それにも引けを取らない意欲作が「カルパカリテフルリエ」である。
スタイリッシュな日付表示付きセンター3針は、実は底知れない実力を秘め、完成された美学に貫かれた、至高のモデル。〝カリテフルリエ〞という言葉は、それが絶対的な価値をもつことを約束し、証言する。それを名乗れる腕時計は、カリテフルリエ財団が設定した基準を満たし、認定したモデルだけである。
財団はスイスのトラヴェール渓谷、フルリエに本拠をもつパルミジャーニ・フルリエほか、超一流の3ブランドが設立したものだが、認定の対象は非常にオープン。しかしその基準は厳しく、100%スイス製はもちろん、日差0秒~+5秒の基準より厳しい数値で検査をパスした公認クロノメーター・ムーブメント搭載が必須。伝統的な作業と審美的な仕上げを施したと認められる完成個体に、耐久性検査を実施。さらに「フルリエテスト」と呼ばれる、機械で再現した動態で実施される24時間テストをパスする必要がある。
世界最高峰の品質保証は、財団を設立したブランドですら製作が困難と言われるほど、ストイックだ。その狭き門をくぐり抜けた「カルパカリテフルリエ」は、文字盤にその称号を掲げ、ムーブメントに頭文字「QF」のスタンプを許されている。レッドゴールドのトノー形ケース、ギョーシェが取り巻くオパール光沢仕上げダイヤルには、他にはない品格がある。しかもただ美しいだけでなく、それ以上の価値をもつ腕時計なのである。
カルパ カリテフルリエ