時代も性別も飛び越えた、永遠不滅のエレガンス
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

時代も性別も飛び越えた、永遠不滅のエレガンス

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VAN CLEEF & ARPELS
ヴァン クリーフ&アーペル

腕時計の世界では、流行とは関係なく価値を認められる銘品が存在する。独自に完結した美学に対し、敬意を払われ続けるベストセラー。ヴァン クリーフ&アーペルには、そういう一生ものがいくつも揃う。

メンズウォッチ「ピエール アーぺル ウォッチ」は、まさにその代表格だ。薄型のケースとストラップをただ一点だけでつなぐ、独創的なスタイルのドレスウォッチ。野暮ったさをすべて排除した純粋なエレガンシーは、上品さを極める。外周に向けて3と9をディストーションしたローマ数字、極上のピケ柄織のようなモチーフ、華奢なほど細い直線と円で構成される文字盤。素材と仕様を違えて42mmと38mmの2サイズで展開するどのモデルにも薫るのは、不動のヴァン クリーフ&アーペルらしさである。商品名に名を採られた創業者一族のピエール・アーペルが初めてこの腕時計をつくったのは、1949年のこと。2012年にリモデルされ、いつまでも終わらないロングセラーが続いている。

一方で、性別さえも飛び越えて熱狂的な信奉者をもつ奇跡の一本が「カデナ ウォッチ」である。錠前の形をしたブレスレットのようで、しかも腕時計。ありきたりな機能性とはるかに離れながら時計らしさはより純化して存在する、そもそもは1935年に誕生した逸品。ただものではない存在感をもつ腕時計には、思ったより男性のファンが多い。

プレーンなゴールドのモデルもラインアップされる一方で、ダイヤモンドセットのモデルではヴァン クリーフ&アーペルの妙技が光る。ホワイトゴールドの地に大小のダイヤモンドが散る、巧緻なスノーセッティング。複雑に光を反射するプリンセスカットを7石、一文字に整列させる贅沢なダイナミズムも見事だ。

モデルを横断する美意識は不変。求められ続ける腕時計は、時代も超える力を備えている。

  • ピエール アーペル ウォッチ

    ●手巻き(830P機械式ムーブメント)、18金ホワイトゴールド製ケース・ベゼル・リューズ、ケース径38mm、パワーリザーブ60時間、リューズにラウンドダイヤモンド、チャコールグレーのアリゲーター革ストラップ、30m防水。¥1,702,800(税込)

  • カデナ ウォッチ

    ●クオーツ、18金ホワイトゴールド製ケース・ベゼル・リューズ、ケースサイズ26×14mm、プリンセスカットダイヤモンド+ラウンドカットダイヤモンドをスノーセッティング、マットブラックのアリゲーター革ストラップ、30m防水。¥18,348,000(税込)

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク TEL:0120-10-1906

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