好対照を描く、機械式のレガシーとデザイナーズの前衛。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

好対照を描く、機械式のレガシーとデザイナーズの前衛。

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RADO
ラドー

ラドーの魅力は両義的だ。ひとつは超・未来志向のマテリアル、コンセプチュアルなデザインの最先端コレクション。もうひとつは、脈々とつくり続けられる60年代デザインの機械式腕時計である。
往年の名作防水時計をオリジナルにもつ「ラドーキャプテンクックオートマティック」は後者の新作だが、手が伸びる理由はレトロスペクティブなスタイルだけではない。誕生から50年をゆうに数えるボディに、“その間の進歩”をラドーは載せているのである。62年のリリース時にはアクリル製だったガラスは、両面反射防止コーティングを施したクリスタルを難度の高いボックス型に成形した。回転式ベゼルには86年に導入された、高耐久性のハイテクセラミックスを嵌め込む。文字盤とコーディネートされたグリーンのカラーセラミックスは、2016年に「トゥルー」コレクションで初めて採用されたものだ。ムーブメントは、80時間ものパワーリザーブをもつ高性能自動巻き。半世紀の技術的アドバンテージを重ねた集大成的モデルの完成度は高く、だからこそ歴史的ディテールである剣と矢の形をした針、カーブダイヤルも引き立つ。
一方、最新の話題作が「ラドートゥルーシンライントゲ」。フードアーティスト諏訪綾子とのコラボによる、リミテッド版だ。トゲとは薔薇やフグの“棘”のことで、時分針のデザインのためにフグの針をスキャンし、文字盤には表皮のテクスチャーを活かした。ポリッシュブラックのハイテクセラミックスが有機物の肌合いを受け入れるさまは、エキゾティックでスリリングだ。「毒や棘があってもなお、人々が本能的に手を伸ばしてしまう強い美しさや美味がある」と、諏訪は考えるという。
尖ったコンセプトは、レガシーを凝縮する機械式時計と好対照。極端さがそれぞれ面白いのが、いかにもラドーらしいのである。

  • ラドー キャプテン クック オートマティック

    自動巻き、ポリッシュ仕上げSS、ケース径42㎜、パワーリザーブ最大80時間、回転式ベゼル、両面反射防止サファイアクリスタル、7連ポリッシュ仕上げSSブレスレット、動く錨のシンボルにルビーのバックプレート、200m防水。¥226,800(税込)

  • ラドー トゥルー シンライン トゲ

    クオーツ、ポリッシュ仕上げブラックハイテクセラミックスケース・三連ブレスレット、ケース径39㎜、両面反射防止カーブサファイアクリスタル、ケースバックに“TOGE”サインをプリント、30m防水、世界限定1001本。¥231,000(税込)

ラドースウォッチグループジャパン TEL:03-6254-7330

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