AV技術の最先端を満載した、 超話題の次世代家庭用ゲーム機。
ソニーの新世代ゲーム機、プレイステーション 5(PS5)が発売され、家電量販店での非常に高い抽選販売倍率が昨年話題となった。そもそもPSの誕生は、ソニー社員・久夛良木健がゲーム機開発に目覚めたことに端を発する。幾多の黙殺、裏切りに直面しながら1994年、発売に踏み切り、誰も予想しなかったヒットに至った。私は98年にこの開発物語『ソニーの革命児たち』(IDGコミュニケーションズ 刊)を著して以来、シリーズの動静を追ってきた。
PS5のゲーム機としてのポイントは「高画質」「立体音響」「迅速さ」だ。2Kはもちろん4K、8K映像も出力可能。もっと詳しく言うと、「4K/120P」、つまり全面4K描画の静止画が1秒間に120枚再生できる。今後のシステムアップデートで「8K/60P」にも対応できるという。これは現在、他のどの高級オーディオ・ビジュアル(AV)プレーヤーにもない性能だ。4Kテレビはものすごい勢いで売れているため、ゲームとしては今後「4K/120P」の高画質作品が増えるだろう。せっかくの8K対応なのだから、ぜひ「8K/60P」のゲーム開発も期待したい。
「立体音響」は、オーディオ界では最先端のバズワード。PS5は独自の「テンペスト 3Dオーディオ」というシステムで対応した。手持ちのヘッドホンをコントローラーにつなぐ、もしくはオプションの「パルス 3Dワイヤレスヘッドセット」で聴く。この専用ヘッドホンで聴いたが、くっきりと輪郭を立てたサウンドが宙に舞うさまが実に面白かった。
「迅速さ」とはゲームデータの読み込みの速さだ。これまでデータは内蔵ハードディスクに保存されたが、本機はそれを高速読み込み/読み出しが可能なSSDに変更した。
さらにPSシリーズには、AVのメディア進化の戦略機という側面もある。PS2はゲームソフトにDVDメディアを採用したことで、ゲーム機をAV再生機としても使用できるようになり、ユーザーに衝撃を与えた。2006年に発売されたPS3はCD、DVD、ブルーレイ(BD)などすべての12センチメディアを再生可能に。これは東芝のHD━DVDとのフォーマット戦争を闘っていたソニーの強力な武器となった。PS3のヒットもあってHD━DVDは08年に敗北宣言し、BDの時代になった。しかし14年に発売されたPS4に、最先端だったUHDBD(4Kブルーレイ)の採用がなかったので、AVファンは落胆した。
今回、PS5はめでたくUHDBD再生を可能にし、さらにネットフリックスをはじめとする多数の配信サービスのアプリも用意している。現代感覚でAVを楽しめるゲーム機というステイタスを得た、楽しみ甲斐のあるマシンだ。
コントローラーも進化。ゲーム世界でのさまざまな動きの質感を、コントローラーの細かな振動でリアルに伝える。
プレイステーションカスタマーサポート www.jp.playstation.com/support