東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第122回 MERCEDES-BENZ E 300 CABRIOLET SPORTS / メルセデス・ベンツ E 300 カブリオレ スポーツ
メルセデスきっての“スムース・オペレーター”!? 新型Eクラスとカブリオレ、その蜜月な関係とは。
メルセデス・ベンツのミドルクラスの本丸とも言える、Eクラスの新型に乗った。4年前にモデルチェンジを行ったW213型初の大型マイナーチェンジであり、エクステリアは一新され、輸入車では初となるARナビを装備し、新しいステアリングに変更された。セダンやステーションワゴンには、1.5Lエンジンに「BSG」と呼ばれるマイルドハイブリッドシステムを搭載したエントリーモデルが設定され、大きな話題になっている。まぁ、Eクラスは4ドアが好きだし、1.5LのE 200にも乗ってみたかったんだけど、今回は2Lのカブリオレを選んだ。
理由は、仕事を絡めて1500km超を走るために少しでもパワーが欲しかったのと、Eクラスのカブリオレに乗るのは初めてだったからなんだ。結論から言うと、その選択は正しかった(笑)。まず今回のマイナーチェンジで、スタイリングがコントラスト強めのイカつい風貌から、シンプルでエレガントな方向にデザインの舵を切ってきたのね。これが2ドアのカブリオレにしっくりきていた、ということ。その変貌は、黄金時代と言われた1990年代ヒップホップの世界から、R&Bにジャンルフリーな編集という概念をもち込み、よりコンシャスになったフリーソウルムーブメントに舵を切ったという感じ(笑)。
同じ90年代のムーブメントってわけじゃないけど、W213型のEクラスという軸もぶれてはいない。その変わりようは同じクラブでも、翌日行くとイベントの内容が変わっていた感覚にも似ているかな。そもそも90年代を「古くさい」とは決して思ってほしくなくて(笑)、本質と革新の時代だったんですよ。壮大なミレニアムを迎えるに当たって内省するあたりが、これから変革の大波を迎える自動車業界にも似ているんだな。たとえば、その揺らぎは新しいステアリングの形状にも表れている。
中心のホーンパッドが小さい真円で、ステアリングシャフトから生え出たようなクラシカル、かつ原点回帰な趣がある。こんな瀟洒なデザインならグリップも細くすればいいようなものだけど、本体はグリップ形状に合わせた力強くスポーティな仕様で、クラシックと機能主義がせめぎ合っているんだ。操作のしやすさもあるけど進化もしていて、高速道路で自動追従している時に、グリップを握っているだけでアラートが作動しないようになったのね。
これが長距離ドライブでとても重宝したんだ。いままでだと、こまめにステアリングを動かさなければいけなかったのが、触れているだけで機能する。リラックスしてきて、ステアリングの下あたりをつまんでいるぐらいだと反応しないので(笑)、正しい運転ポジションで緊張感を促す意味でもよくできている。