甘辛&スパイシーな肴が酒を呼ぶ、昭和歌謡にぎやかな中華酒場。
写真:尾鷲陽介 文:岡野孝次

甘辛&スパイシーな肴が酒を呼ぶ、昭和歌謡にぎやかな中華酒場。

シュウマイルンバ
西荻窪
郷愁そそる中華酒場
テイクアウトあり
紹興酒はじめ豊富な酒類

「肉焼売と海老焼売の合もり」¥600(税込)。ヒノキのせいろで蒸して、竹のせいろで提供される。豚はバラ肉をメインに使うため、肉の旨味がありつつジューシー。粗挽きと細挽きを混ぜて使うため、食感も楽しい。お酒はビール、焼酎、サワーほか。日本酒もグラス500円代を中心に揃えるなど、リーズナブルな価格設定もうれしい。

日本における中華点心の二大勢力といえば、餃子とシュウマイだ。餃子の醍醐味がこぼれ出す肉汁なら、シュウマイの魅力は旨味の凝縮感だろう。西荻窪に6月オープンしたばかりの「シュウマイルンバ」の看板メニューは、ぽってりとしたフォルムの「肉焼売」。薄皮のなかに豚肉と玉ネギの甘味が満ち、からし醤油を付けて味わうと、その濃厚さに「もう一杯」と酒が進む。紹興酒にレモンとハチミツを加えた「自家製ルンバサワー」と相性は抜群だが、ぜひ焼酎や日本酒とも合わせたい。シュウマイの甘辛い味わいが、和の食中酒にピタリと寄り添うからだ。日替わりのおつまみは「茄子のバルサミコ黒酢煮」や「ピータンとパクチーの白和え」などが揃い、中華をベースに西洋とエスニックまでかけ合わせたユニークなラインアップ。「黒酢豚」や「自家製焼豚」など、定番の中華が揃う安心感もいい。

最後は昔なつかしい醤油味の「ラーメン」で〆めたい。熱気で上気した顔でレトロな店内を見わたせば、なおさらほっこりと和やかな気持ちになれるだろう。「西荻窪のよさは、昔ながらの路地に元気な個人店が並んでいること」と話す店主の天田政俊さん。街の散策もかねて、ぜひゆっくりと訪れてみたい。

「赤ちょうちんのような、気安い店がやりたかった」と話す店主の天田さん。彼は年季の入った家具や調度品を収集しており、それらを活かしたレトロな雰囲気も魅力。店内でかかる昭和歌謡も天田セレクション。店名は西田佐知子「コーヒールンバ」に由来する。

西荻窪駅南口から3分ほどの立地。周辺にはいまも昭和の街並みが残る。テイクアウト用カウンターもあるため、シウマイを持ち帰る客も多い。また6月23日からは「焼売定食」などのランチもスタート。ちなみに駅北側の和風居酒屋「テンセイ」は姉妹店で、こちらも地元民のあいだで大人気だ。

甘辛&スパイシーな肴が酒を呼ぶ、昭和歌謡にぎやかな中華酒場。