驚きの2,100円! 極旨スパークリングを発見。
祝 ドメーヌ・オヤマダ
グラスに注ぐと、レモンイエローに輝く液体の中を小さな気泡が次から次へと立ち上ります。口に含んでみると、熟れた黄桃のような黄色い果物の香りが広がっていきます。ゴクリと飲み込むとピュアな果実味が感じられ、思わず「おいしい」のひと言が口をついてしまいます。
これが山梨でワインをつくり続ける小山田幸紀さんによる、ドメーヌ・オヤマダのスパークリングワイン「祝」です。おいしさはもちろん、2,100円(税抜)という価格には、驚きを禁じ得ません。小山田さんに初めて出会ったのは2004年の夏。山梨のルミエール・ワイナリーに入社して6年目を迎えた頃でした。あれから15年。いつも畑仕事で真っ黒に日焼けしているのはいまも同じですが、彼を取り巻く環境は大きく変わりました。勤めていたワイナリーを辞して、志を同じくする仲間たちと日本の農業の将来を見据え、農地を継承・活用し、農業従事者の雇用・育成を目指す団体、ペイザナ農事組合法人を立ち上げたのです。そして彼自身はドメーヌ・オヤマダというブランドのもと、自ら育てたブドウのみでワインをつくっています。
「ブドウ栽培の面白さにのめり込むうちに、自分は農家として、ワインを通じて日本の農業に関わっていきたいと思うようになりました。だからこそ、ブドウはすべて自分で育てるべきだと考えています」と、小山田さんは語ります。
自分で可能な限り農地を借り受けて、現在ドメーヌオヤマダとしての畑の面積は4ha余りになりました。そしてそのすべてについて、化学合成農薬、化学肥料、除草剤を使わずにブドウを育てています。かといって、栽培にしても醸造にしても、自然のままに任せる訳ではありません。
「栽培で、畑をそのまま放置してしまったらブドウは育っていきません。放置するのが自然農法ではないのです。醸造においても自然に流れるままにしておけば、ワインはいずれお酢になってしまうでしょう」
ブドウ樹を細やかに観察し、作業を段取り、殺菌剤として使われるボルドー液を撒くタイミングを計ったり、発酵途中のもろみの様子に常に気を配り、もろみを温めたり冷やしたり……。「要所要所で処理していくことは、栽培・醸造のテクニック以外のなに物でもありません。私自身、まだまだやり切れてはいませんが、いつなにを処理していくのかには、経験値を積んだ上で、感じることが重要です」
人の心を惹きつけてやまないピュアな味わいの背後には、そうしたきめ細やかな作業があるのです。
自社畑面積/約4ha
栽培醸造家名/小山田幸紀
品種と産地/デラウェア、甲州、プティ・マンサン(山梨県甲州市勝沼町祝地区)
ワインの容量/750ml
価格/¥2,100(税抜き)
造り/房のまま搾って果汁を得た後、ステンレスタンクにて野生酵母で第一次発酵。11~12月、二次発酵前に糖分は加え、様子を見て瓶詰めする。瓶熟1年デゴルジュマンする。培養酵母・亜硫酸無添加。
栽培/草生栽培。石灰硫黄合剤とボルドー液を散布。春草はそのまま伸ばすが、夏草は、伸びた際に人の手で草を刈る適度に刈り取る。無施肥、不耕起栽培。
ワイナリー名/ドメーヌ・オヤマダ
http://vinscoeur.co.jp/producer_japan/ドメーヌ・オヤマダ
※販売元ヴァンクゥールでは、在庫完売しています。新ヴィンテージは2019年12月発売予定。
※この連載における自然派ワインの定義については、初回の最下段の「ワインは、自然派。について」に記載しています。さらに毎回極力、栽培・醸造についての情報を開示していきます。