10㎏以上もある寒ブリは冬の王者。幼い頃から親しんだ富山の魚の魅力を伝える山本さんは今年「とやまふるさと大使」に就任。SNSを駆使し販路を拡大中。
東京都心から約40km、八王子に富山の魚のみを扱う鮮魚店がある。黒部市出身の山本智さんは学生時代に上京した際、氷見の魚を扱う「とやまフーズ」(前身の店)でアルバイトしたのが縁で店を受け継ぐことに。
「海のない多摩地区では、魚を食べる機会が少ないみたいで。だから、種類豊富でおいしい富山湾の魚を知ってほしいんです。近県からクルマで訪れる方もいます」と山本さん。
立山連峰から注ぐ豊富なミネラル、寒流と暖流が混ざり合う富山湾はプランクトンの宝庫で、天然の生け簀として知られる。なかでも屈指の水揚高を誇る氷見漁港から毎日直送される魚は、東京の市場ではお目にかかれないものも多く、銀座の料理屋から注文を受けることも。近年はネット販売にも力を入れており、ていねいに処理した後、真空パックにして全国へ発送。養殖、冷凍品、海外産ものは扱わない。地元・富山の魚の価値を全国へ発信すべく、奮闘を続ける。
山本鮮魚店
東京都八王子市絹ヶ丘2-2-17 TEL:042-637-1460
営業時間:10時~19時(火~金)、9時~19時(土、日、祝)
定休日:月(祝日の場合は火曜休)
https://toyamafoods.net
冬にお目見えする香箱ガニは、ズワイガニのメス。卵と味噌の濃厚な味わいが特徴だ。
冬、甘みを増すアオリイカは刺し身がお薦め。
多摩地区の主要道路、野猿街道沿いに看板を掲げる。店の前身は1987年に高岡出身の店主が創業したとやまフーズ。2015年、現在の店名に変更した。
銀座直売店各地の漁場から、その日のうちに魚が届く。
鮮魚販売から調理までをこなす石井さん。お薦めの調理方法から保存の仕方まで、魚をおいしく食べてもらうためのアドバイスは欠かさないという。
国内のハブ空港である羽田空港に鮮魚センターを設け、産地から消費者へ至る流通の簡素化を実現させた「羽田市場」。早朝、全国の漁船で血抜きや神経絞めされた魚が同日の昼には羽田で集荷され、店頭へ並ぶという超スピーディなシステムのため、東京でも非常に鮮度のいい魚に出合えるわけだ。
「いい魚を手に入れるためには漁師との信頼関係が第一。絶滅危惧種は扱わないなど、漁場の環境にも配慮しています」と話すのは、銀座直売店の店長、石井和彦さん。この店では鮮魚販売はもちろんのこと、昼はマグロ丼をメインに提供する他、16時からは立ち飲みの居酒屋に変身、日本酒に合うとびきりの肴が楽しめる。近隣の会社員が予約の刺し身を持ち帰ることも多い。朝イチにSNSで入荷状況をチェックして、メールや電話で注文するのがツウのやり方。最新の流通システムにのった魚は情報戦を制して手に入れたい。
羽田市場 銀座直売店
東京都中央区銀座8-15-6 クリスタルスクエア銀座1F TEL:03-4582-2394
鮮魚販売:11時~18時
ランチ:11時~14時(平日)
立ち飲み:16時~22時(平日)、11時~18時(土、日)
https://hanedaichiba.com
冬に脂がのって旨味が増す長崎産のスナガツオ。
北海道産のサメガレイは刺し身やしゃぶしゃぶがお薦め。
ランチや立ち飲みタイムになると鮮魚売り場はなくなるが、注文はいつでもOK。スマホの専用アプリから持ち帰り予約も可能。