デヴィッド・ボウイを喜ばせた、スタイリスト高橋靖子さんの贈り物とは?
―純米酒、ふだん飲み。私のSAKANA vol.4―
酒の味が引き立つような味わい深い逸品を「肴」にたとえ、各界で活躍する人物に愛用品を紹介してもらう新連載がスタート。ときに偏愛すら感じさせる、彼らの熱い思いを探ります。
スタイリスト界のレジェンドといっていい。周囲からはヤッコさんと呼ばれ、親しまれている高橋靖子さん。日本ではまだスタイリストという職業が一般に認知されていない時代にキャリアをスタート、以来第一線を走り続け、気づけばスタイリスト歴50周年の節目を迎えることに。お酒は日本酒がいちばん口に合い、かわいいお猪口や徳利を所有。でも翌日に差し支えないよう日頃は自制する真面目さが、華やかな仕事ぶりとは対照的です。
これまでスタイリングを手がけてきた著名人は、国内外を問わず枚挙にいとまがありません。なかでもとりわけ大きな存在で、「めぐり逢っちゃった人」というのが、デヴィッド・ボウイ。時は1972年、ロンドンにて。
「T・レックスの撮影で、写真家の鋤田正義さんと街を歩いている時にデヴィッドのポスターを見かけて。レコード会社に交渉したら、彼の撮影をさせてもらえることになったんです」
この偶然をきっかけに、高橋さんはデヴィッド・ボウイのスタイリストを務めることになります。翌年、アメリカ進出の第一歩となるニューヨーク公演に同行、山本寛斎の衣装をスタイリングして大きな反響を呼びました。
「夜は遊びに連れて行ってもらいましたね。ニューヨーク・ドールズのライブを観たり、アリス・クーパーに会ったり。ヒリヒリするような、刺激的な時間でした」
デヴィッド・ボウイが来日すれば、一緒に仕事をするのはもちろん、プライベートな時間に街を案内することもしばしば。
「最初の頃はデヴィッドが浅草を歩いていても誰も気にとめない。思えばそんな時代からのお付き合いです。日本に興味津々で、和食が好きでした」
80年代のある時、キディランドで見かけたのが、写真のロボット型時計。「デヴィッドが好きそう!」と直感した高橋さんは即購入、彼に見せると案の定とても気に入った様子。再び店に行き、売り場の商品を買い占めると、おみやげとして手渡したのだとか。
「いいね、と思える感性が一緒でした。そんな数少ない人のひとり」
わかり合えた瞬間は、時に言葉よりも強く人を結びつけるものです。(文:小久保敦郎)
高橋靖子 スタイリスト
●1941年生まれ。広告会社勤務後、スタイリストの先駆けに。近年は広告を中心に活躍。2月12日まで、BEAMSJAPANで回顧展「YACCO SHOW ― Let's enjoy my Dream Box ! ―」を開催中。
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