青臭さをコントロールして、味わいのアクセントに変えた、...

日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

#34|
鹿取みゆき・選&文
尾鷲陽介・写真
selection & text by Miyuki Katori
main photograph by Yosuke Owashi

くせもの

カベルネ・フランというブドウを知っていますか?知らなくても、カベルネ・ソーヴィニヨンなら、知っているという方は多いかもしれません。カベルネ・フランもカベルネ・ソーヴィニヨンも、フランスのボルドー地方の主要品種です。

 実は、カベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンの親にあたるブドウです。黒ブドウのカベルネ・フランと緑のブドウのソーヴィニヨン・ブランの子どもがカベルネ・ソーヴィニヨンなのです。ちなみにこの親子関係は、1997年、カリフォルニアの研究者によって明らかにされました。人間の親子のDNA鑑定と同様に、DNA配列を使った解析で解明されたのです。

親子関係にあるだけあって、カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランには、「青臭い」共通の香りが感じられます。この香りは、強すぎるとピーマンのような青臭さになりますが、ブドウを十分に熟させて他の香りとのバランスを取れば、味わいのアクセントになることがあるのです。

まさにそうしたつくりでカベルネ・フランからロゼワインをつくっているのが、富山県にあるやまふじぶどう園ホーライサンワイナリー」の山藤健さん。「ブドウを十分に熟させるために、房の周りの葉を取り除き、しっかり房に日光を当てるようにしています」と話します。

色合いはロゼワインとしてはかなり濃い目。やわらかな香りは温かみがありながら、決してだれることのない緊張感も持っています。口の中でふわっと広がる果実味には、ロゼといえどもしっかりと飲みごたえも感じさせます。こうした味わいや香りの微妙なバランスには、もともとはパティシエだったという山藤さんのセンスがにじみ出ています。

ワインの名前は、なんと「くせもの」。青臭さをうまくコントロールしないと、飲みにくくなってしまうというこの品種の特徴を名前にしたようです。やわらかく絶妙なバランスのこのロゼワイン。するっと1本あいてしまいそうです。

青臭さをコントロールして、味わいのアクセントに変えた、「やまふじぶどう園ホーライサンワイナリー」のロゼ
カベルネ・フランが大好きだという山藤健さんがワインづくりを始めたのは、6年前からだそうです。ケーキづくりなどと違って試作を繰り返すことのできないワインですが、ものをつくり上げるのは同じだと話します。やまふじぶどう園ホーライサンワイナリーは1927年に設立された老舗ワイナリーです。

くせもの

ヴィンヤード名/やまふじぶどう園ホーライサンワイナリー
品種と産地/カベルネ・フラン(富山県富山市婦中町)
容量/720ml
価格/2,000円
問い合わせ先/やまふじぶどう園ホーライサンワイナリー

http://www.winery.co.jp

青臭さをコントロールして、味わいのアクセントに変えた、...