野生酵母で発酵させた、優しい飲み心地の“ナチュラルワイン”

日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

#20|
鹿取みゆき・選&文
尾鷲陽介・写真
selection & text by Miyuki Katori
main photograph by Yosuke Owashi

ヴィンヤードシリーズバッカス2015

口に含んだ時に、身体にすーっと染み入るような飲み心地のワインがあります。一杯飲むと、すぐに次の一杯が飲みたくなる……。いつのまにかボトルが空になってしまいそうなちょっと危険なワインですね。

そのワインは、札幌郊外にあるさっぽろ藤野ワイナリーでつくられました。手作業で丁寧にきれいなブドウだけを選び出し、その後、房ごと優しく搾って得た果汁を発酵。実は、このワインは発酵の時に、培養した酵母を加えていません。自然に果汁が発酵し、湧き起こるのを待っているのです。さらに全体を通して、酸化防止材である亜硫酸の量を可能な範囲で減らしています。飲み心地の優しさは、こうしたつくりによるところもあるのではないでしょうか。 

醸造責任者の浦本忠幸さんはこう話します。「このワインに使ったバッカスという品種は、洋梨のような豊かな香りが魅力です。香りがきれいに出るように、発酵中には酸素とあまり触れないようにかなり気を配りました」。

確かに飲み込んだあとは、ほんわりと洋梨のような、少し甘い香りが鼻腔に抜けていきます。
よく目にする「ナチュラルワイン」とか、「ヴァンナチュール」という言葉。このワインは、ナチュラルワインの範疇に入るのかもしれません。アンチナチュラルワインの人の中には、野生酵母で発酵させたワイン=腐敗したワインと決めつける人もいるようです。確かに野生酵母で発酵させたものには、お酢になってしまったかのようなワインがあるのも事実です。でも、このバッカスのワインのように、自然に任せるところがありながらも、というか、自然に任せようとするからこそ、じつは細心の注意を払っているつくり手のすばらしいワインがあるのです。

野生酵母で発酵させた、優しい飲み心地の“ナチュラルワイン”
ワイナリーのワインづくりの方針は、オーナーである伊與部淑恵さんと佐藤トモ子さん姉妹によるものです。浦本さんは同じ北海道の醸造家、ブルース・ガットラヴさんのもとで修業を積んだ後、醸造責任者に就任。「自然に任せるためには、すごく手をかけたり、気をつけたりしなければならないのをブルースさんに教わりました」と浦本さん。今年は、北海道の斜里の窯で焼いた甕(かめ)を使ったワインづくりにも挑戦予定です。

ヴィンヤードシリーズバッカス2015

ワイナリー名/さっぽろ藤野ワイナリー
ブドウ品種と産地/バッカス(北海道三笠市)
容量/750ml
価格/¥2,376
問い合わせ先/さっぽろ藤野ワイナリー
TEL: 011-593-8700
www.vm-net.ne.jp/elk/fujino/item.html



プレゼント

連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第20回「ヴィンヤードシリーズバッカス2015」のご応募の締め切りは、2016年10月13日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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