イギリス人にとってパブはふらりと立ち寄れる「第2の我が家」。しかしパブ経営は難しく、多くが閉店を余儀なくされてきた。そんな中、伝説のパブ「ケー・ピー・エイチ」が奇跡の復活を遂げた。
 1866年に開店し、ステージのある音楽パブとして知られ、トム・ジョーンズやポール・ウェラーも演奏した名店。しかし2013年に不動産業者に売却され閉店の危機に。地元のパブの灯を消さぬよう、近隣住民と元クラッシュのポール・シムノンらが立ち上がり、パブ存続を約束したシェフ兼起業家H・ハリスへの再売却を成功させた。改装を終え、5月末に1階パブ、8月頭に2階レストランがオープン、連日盛況だ。パブ救済劇は「新たな伝説」となるだろう。

ニューヨークにおいて、ホテルのトレンドはミニマル＆ラグジュアリー。このほど開業した「シスター・シティ」は、ギャラリーや話題のレストランが集まるバワリーエリアにあり、一見するとよくあるデザインホテル。だが、実はAIなど最新テクノロジーを駆使し、大きな差別化を図っている。チェックインは無人で、各種サービスはウェブを通してリクエストするセルフサービス式。ロビーのBGMは、屋上のカメラで取り込まれた情報によって変化する。また、無料でメディテーション・アプリの利用も可能だ。温もりある落ち着いた空間とデジタルという組み合わせは、キラキラより合理性が好まれるこれからの時代、スタンダードになる日も遠くない⁉

シンガポールがイギリス統治下にあった1887年、上流階級の人々や文化人の社交場として開業したラッフルズホテル。全室スイートという名門ホテルが、2年がかりの大改修を経て再オープンした。アラン・デュカスなど有名シェフが手がける新しいレストランとともに、観光客に人気のショッピングアーケードの店舗も大々的に様変わり。既存の建物を活かしたていねいな補修と、老朽化した設備の改修に最大の注意が払われた。一見したところ、ホテル自体が大きく変わったという印象は少ないが、重厚感はやや軽減され、明るい色調のインテリアに。空間にさらなる華やぎとモダンな息吹をもたらしている。都会のオアシスへ、少し気取って出かけてみよう。

ベルリン中心部を横断し、遊覧船も航行するシュプレー川。その中州にある「博物館島」は、1830～1930年の間に建てられた5つの博物館が立ち並び、世界遺産に登録されている。そこに、デイヴィッド・チッパーフィールド設計の「ジェームス・ジモン・ガレリー」が新たに加わり、開館初日には1万人以上が詰めかけた。
小さな展示室を備えた博物館島の総合エントランスとして、島内に点在していたチケット売り場やクロークなどを集結させた建物で、隣接する新博物館や旧博物館の列柱からインスピレーションを得たというコンクリートの列柱が印象的だ。明るく開放的なテラスにはカフェも併設され、多くのベルリンっ子で日々賑わっている。

去る8月に北欧最大級となる無印良品が、ストックホルム中心街の老舗デパート「オレーンス」内にオープン。初日には数百メートルの行列ができるほどの盛況ぶりで、約1200㎡を誇る店内には衣類から家具、寝具、食料品まで欧州で展開する商品がフルラインアップで揃う。また、地域初となる刺繍サービスや、チームラボが手がけたデジタルサイネージの展示も行っている。良品計画の松㟢曉社長は「スウェーデンと日本には共通する美学があり、大きな類似点をもっています」と地元紙に語った。スウェーデン向けのオンラインショップも同時にスタートし、今後ヘルシンキやコペンハーゲンの出店も予定しているという。北欧での人気に今後注目したい。