ミュージシャン・堀込泰行が偏愛する、"いなたい"ワークジャケット

ミュージシャン・堀込泰行が偏愛する、"いなたい"ワークジャケット

写真:加藤佳男 文:力石恒元 イラスト:阿部伸二(karera)

堀込泰行 (ほりごめ・やすゆき)●1972年、埼玉県生まれ。97年にバンド「キリンジ」のボーカル・ギターとしてデビュー。2013年に脱退後、ソロ活動開始。最新作は21年4月リリースの3rdアルバム『FRUITFUL』。

堀込泰行さんの定番は、エルヴィス・コステロをはじめとする自分の好きな、パブ・ロックのアーティストたちが着ていたような、ちょっといなたいジャケットスタイル。さらっと羽織ってきた、気軽な雰囲気だ。

「普段から自分がつくる音楽に合う格好をしたいと思っています。ただ、いろいろなタイプの曲をやっているミュージシャンの僕にとって、どんな装いがニュートラルかを考えていて。そんな時に出合いました」

キレイめというのではなく、いまっぽい感じでもない。好みであるトラッドの匂いがしながら、こなれた感じに着崩せる服。堀込さんは、自分と自分が紡ぐ音と服のバランスを考えた時に、ワークジャケットがしっくりきた。そこから目に留まったものを買い集めてみようと思ったという。行きつけがあるわけではなく、道すがらのぞいたお店に気に入ったものがあれば、試着して買う。それはまるでレコードとの出合いのようで、偶然も楽しむ。

「音楽のスタンダードは単に古いものではなく、流行のふるいに掛けられても残る名曲。幼少期から、流行の曲より惹かれたのは『名盤100』に収録されるような楽曲。自分の音楽も多くの人と一緒に時代を超えられたら」

気張らず軽やかに、そっと人に寄り添う。ワークジャケットはまさに、堀込さんのスタンスを表している。

上:4年前に購入したザ ヒルサイドのジャケット。「新聞記者がラフに着るようなツイード地と、ワーク感あふれるチンストラップがいい」 中:友人から譲り受けたフランス軍ヴィンテージ。「色みが綺麗で、厚手のカーディガンのイメージで襟シャツに合わせます」 下:7年ほど前に中目黒のジャンティークで購入。「左胸と背面の刺繍が作業着っぽくて好きです」

※Pen2020年9/15号「あたらしい定番と、自分のための定番」特集よりPen編集部が再編集した記事です。

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