三角形のこのケースはバッグ？ アクセサリー？ 答えはどちらも正解だ。財布とスマートフォン、それに小さな ノートが余裕で収まるコンパクトなサイズ。取り外し式のショルダーで斜め掛けしても、ストラップに手首を通してクラッチ使いしてもよし。表も内側も高級レザーで、つくりも精緻を極めている。贅沢に仕立てられたケースに描かれた図案のモチーフは、アーティストであるジャン=ミシェル・バスキアの作品だ。本物の絵画のニュアンスを表現すべく、刺繍、プリント、凹凸加工など技巧を駆使。どの角度から見ても絵になるように、あらゆる箇所が徹底してつくり込まれている。アクセサリーとしてミニバッグが流行中のいま、コーチ流の“本気の”センスと質に満ちたこの逸品が着こなしの決め手になるだろう。

NYのブロンクスで1910年に創業されたエバーラスト。ボクシングに代表される格闘技系のスポーツ分野で世界を牽引したブランドで、ジャック・デンプシーやシュガー・レイ・ロビンソンなどの世界チャンピオンに愛用されてきた。最近では多彩なアイテムを揃えているが、今季からイメージをクラシックなボクシングへと原点回帰。ディレクターに自身もボクシングを嗜むというベドウィン&ザ・ハートブレイカーズの渡辺真史を迎えた。今季は 80年代のヘビー級王者、マイク・タイソンがイメージソース。このスウェットにも、80〜90年代にアメリカでよく使われていたゴワゴワとしたポリエステル混の裏起毛素材をあえて採用。本格さをいまに伝える、レトロスポーツなアイテムだ。

自宅での時間を快適に過ごすには、スポーツウエアが最適だ。それがクラシックなものであれば、男心がなお騒ぐ。ゴーラは英国のノッティンガムで、1905年に設立された由緒あるブランド。創業当時からつくっていたのがサッカーシューズで、70~80年代にその人気が爆発。本国ではサッカー漫画にも登場したほどだ。また、スニーカーはポール・ウェラーやロビー・ウィリアムスといった英国の伝説的シンガーにも履かれて注目を浴びた。そんなゴーラから今季発表されたのが、ベロア素材を採用した個性的なトラックスーツ。出自を物語るクラシックなスポーティさを醸し出しながら、起毛素材とゴールドのロゴ刺繍、加えて袖のレインボーストライプで英国らしさを物語る逸品だ。

肩を落として着るルーズフィットなスタイルが今季も世界的に流行しているが、1980 年代以降の日本ではダボッとした服装がモード好きやストリート好きに長らく愛されてきた。ビッグシルエットがブームの終焉を迎えたとしても、きっと日本では定番として着られ続けるに違いない。その意味でも新たに手に入れたいのが、デニムを得意とするスウェーデンのアクネ ストゥディオズによるヴィンテージ風セットアップだ。ジャケットは2 サイズ以上も大きいシルエットで、袖先はたゆみ、着丈も腰を覆うほど長い。このバランスで着て洒落て見えるようにディテールも巧みに計算されている。同じくルーズなパンツと上下で着こなせば、まさしく “ダサカッコいい” 旬のスタイルが完成だ。

いま改めて、デニムが気になる。ここ数年、ファッションシーンではそうした声が大きくなっている。2000年代のプレミアムデニムの大流行以降、モードの表舞台から姿を消していただけに、味わいのある表情が新鮮に感じられるはずだ。そんな注目のデニムを洗練されたセンスでモダンなアイテムに昇華させたのが、イタリアのグッチだ。ゆとりのあるボクシーシルエットのワークジャケットには金ボタンが配され、あたかもブレザーのように上品な佇まい。着丈は短めで、袖も手首がのぞく7 分袖。サイズが合わないヴィンテージをわざと着るようなアンバランスさが愉しい。同様に幅広のショートパンツをセットアップで合わせて、新時代のドレスアップに挑戦しよう。