サーフボードのシェイパーでもある、デザイナーのマンネ・グラッドが 2019 年にスウェーデンで立ち上げたサーフボード&ウエアブランドが、ストックホルム サーフボード クラブだ。「サーフボードは私の神経をくすぐります。クラフトマンシップ、美学、パフォーマンス、表現を網羅したひとつのオブジェです」と語るグラッド。デザインする服にもサーフカルチャーやアート、音楽などへの想いが込められている。黒のジャケットに使われているのはポリエステル素材。従来のサーフブランドとは一線を画したモードなテイストは北欧に出自をもつサーフブランドらしいデザイン。街着としても着回しの効くウエアが、海辺ではクールな存在感を放ち、ひと際目立つことは確実だ。

北欧ファッションといえば、クリーンな印象とリラックス感。さらに、モノを大切にする習慣から求められる高品質と実用性とを併せもつことも特徴だ。ノルウェーで誕生したトムウッドが今季新たに提案するのは、より時間をかけ、よりよい製品をつくりたいという想いからデザインした「テン・バイ・トムウッド」というコレクション。クラシックなデザインに遊び心のあるディテールを加え、着る人のスタイリングや創造性を刺激する服が揃う。北欧の夏を彷彿させる、この生成りのシャツはデッドストックのウ ール生地を使用。やわらかなシルエットとシャープなラインが目を惹き、オンとオフ問わず着用できる汎用性をもつ。北欧ファッションの魅力が凝縮されたシャツではないか。

アメリカを初めて訪れた瞬間を思い起こす時、街の景色を彩る光り輝くネオンが頭に浮かぶ人は多いだろう。コンクリートの無機質なビルやカジュアルなダイナーには、カラフルな蛍光色の看板が映える。これぞ20世紀アメリカがつくり上げたポップカルチャーの象徴である。掲載の白いフーディに描かれたモチーフは、その黄金時代といえる1950年代のアメリカンダイナーの看板をイメージしたもの。日本ブランドのソーイのデザインにより、誰もがアメリカンドリームを夢見た時代にオマージュが捧げられている。この看板のダイナーは実際には存在しないのだが、一瞥しただけでその空気を感じさせる。かつてのアメリカの大らかなムードまで表現した、ロマンあふれる一着なのだ。

1941年にニューヨークで誕生したコーチは、自国アメリカに根ざしたものづくりに力を注ぐブランドである。彼らはコラボレーションでも、同様にアメリカを感じさせる相手を選ぶ。このたび手を組んだのは、100 年以上の歴史をもつスポーツウエアの老舗、チャンピオンだ。代表的なアイテムはスウェットシャツで、20 年代に誕生し、第二次世界大戦後にカレッジファッションとともに世界中に広まった名門。ここで紹介するのは、そんな同社のアイコニックなロゴマークが印象的なセーターだ。コーチの頭文字とも共通するCマークが、フロントと裾のレザータグに配されている。セーターではあるが、スウェットシャツのようにスポーティなデザイン。アクティブな着こしがよく似合う。

昨年、ブランド創立25周年を迎えたルシアン ペラフィネ。記念の年を経て、今季テーマとしたのが「キューバ」だ。この地に革命を起こした英雄チェ・ゲバラやいまでも現役で街中を走るヴィンテージカー、キューバを愛したE.ヘミングウェイの代表作『老人と海』からインスピレーションを得たセーターを多数展開。ここで取り上げたマルチカラーのプルオーバーに使われているのは、「エコカシミア」と呼ばれるエコ素材。廃棄されたカシミアを手で選別し、未使用の高品質カシミアとミックスすることでつくり出される手の込んだ素材だ。「サステナビリティなくしてラグジュアリーはあり得ない」と宣言するブランドらしい、地球環境への配慮と高品質が共存し洒脱なセーターといえる。