スニーカーの勢いが続く中、あえて革靴を選ぶというのもファッションの楽しみ方のひとつだ。今回紹介するのはトッズの新作「クリント」というローファー。甲部のサドルの端を糸で縛り上げた「ビーフロール」のデザインに、レトロさを感じる人も多いだろう。今シーズンから同ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるヴァルター・キアッポーニは、ブランドの原点に立ち戻り、プラグマティズム（実用主義）に反骨精神を融合させたコレクションを発表したが、このローファーもその代表作といえる。ローデングリーンのアッパーにブラウンのコバという異色の配色に、チャンキーなラバーソール。ハンドステッチを際立たせたデザインがレトロな顔つきを新鮮に見せている。

自宅で長時間過ごすライフスタイルが定着した昨今。生活必需品を買うためだけに、近隣のスーパーマーケットに出かける頻度も増す一方だ。そんな時に使うバッグのひとつとしてお薦めできるのが、マルニのストライプトートである。実用面でもデザイン面でも、一歩上をいく優秀なショッピングバッグ。 機能面でまず特筆すべきは、短いアルミハンドル上部、筒状に横長な固いレザーの持ち手。ペットボトル飲料など重い品物を収めても手が疲れず、汁物もこぼれず安定して運べるのだ。さらにボディはクッション力の強いビーチシートのような化繊生地で、 型崩れせず気軽になんでも放り込める。デザイン面でも見ての通り、ミッドセンチュリ ーを彷彿させるストライプの色模様が美しい。ともすれば面倒なデイリーショッピングを心楽しくさせてくれる傑作だ。

スーパーやコンビニのレジ袋が有料化され、日常の買い物で使うエコバッグが脚光を浴びるようになった。折り畳んで持ち歩けるショッピングバッグにも、男性に合うデザインのものが登場してきている。サルヴァトーレ フェラガモがリリースしたのは、レジャーやオフタイム向けの新ライン「トルナブオ ーニ 1927」のオールブラックのショッピングバッグだ。袋状のオーセンティ ックな形状だが、高級ナイロン素材でリッチにブラッシュアップしている点が秀逸。裏地も同素材で耐久性が高く、バッグ正面は3D ラバーで立体的なブランドロゴが飾られている。ファッションのカジュアル化が進むいま、買い物時だけでなく日頃持ち歩くメインバッグとしても十分に活躍してくれる。スポーティなアスレジャースタイルにも合う、自由度の高い優れモノだ。

エレガントで美しいスーツを提案し続けるモード界の帝王、ジョルジオ・アルマーニ。流麗なラインで動きに自由が生まれ、快適な着心地を味わえるのが、彼がデザインするスーツの特徴だ。今季提案されたのは、ニューヨークのマディソン街を歩く都会的な男性をイメージした、新しいフィットのダブルスーツ。幅広のラペルを備え、高い位置に6つボタンを配し、モード感を強く押し出した細身のスーツだ。パンツのシルエットも細く、裾幅は17㎝に設定されている。素材にチョークストライプ柄のフランネルウールが使われているが、クラシックなスーツ素材をあえてデザインでモダンに仕上げている。これこそジョルジオ・アルマーニの卓越したセンスの真骨頂といえよう。

日本では「スーツ＝男性の仕事着」というイメージが強かったが、社会全体のカジュアル化により、いまでは楽しんで着こなす“嗜好品”としての要素が強まっている。ユナイテッドアローズから誕生したロエフが今季コラボしているのが、イタリアの老舗テーラードブランドのカルーゾ。数々の世界的メゾンからのOEMでスーツなどを手がける名門は、職人的な仕立てとコンテンポラリーさが共存するブランドだ。このジャケットの特徴は、ウエストの絞りをなくした「ZERO（ゼロ）」仕様のシルエット。胸ポケット、袖ボタンまでを排してミニマルなデザインに仕上げている。パンツもややワイドなかたちで、プリーツ入り。従来のイタリアのスーツとは一線を画した洒落感にあふれている。