ゼロ年代が始まってからの10年間を、小さめの服を着る「タイトフィット」の時代とするならば、現在は真逆の、ゆったりと着る「オーバーサイズ」の時代といえるでしょう。ラグジュアリーさを感じるリラックスした服に袖を通して、旬の雰囲気を纏ってはいかが？ 今季注目されるアイテムは、ボリュームのあるシープスキンの服。レザーのスペシャリストであるイタリアの「フェンディ」からも、ラム（子羊）スキンをたっぷりと使った特別なグレーのパーカが登場しました。本来は裏面に用いるボアを、大胆に表面に配したラグジュアリーな一着です。背中には “フェンディ スタンプ” ロゴがつき、ブランドのアピールにも抜かりはありません。旬のスタイルであるストリートな感性をフェンディで手に入れ、贅沢に浸りましょう！

モード界で2018年のA/Wシーズンでは、ヴィンテージ感がキーワードになっています。上写真のジャケットは、表側が起毛され裏側がボアになったシープスキン製。スペインのラグジュアリーメゾン「ロエベ」の新作です。1970年代に流行したシアリングコート（ランチコート）を想起させる、レトロなムードに味わい深さがあります。この服は異なる要素をミックスする、現代的なハイブリッドデザインでもあります。ベースの型がカジュアルなジージャン（デニムジャケット）で、そのデニム素材が極上のシープスキンに置き換えられているのです。ジージャン本来の縫い目に着目し、そこから白ボアを飛び出させた、立体的でグラフィカルな表現にもさららる工夫が。高級品と臆せずに、ラフな服装と合わせて着てこそ様になる一着といえるでしょう。

「 バチュー・クロス」とは、「ハンティング・ワールド」の創設者であり冒険家でもあったロバート・M・リーが猛暑や極寒にも耐えうる屈強な素材として完成させたもの。2018年春夏からは「ホワイト マウンテニアリング」を手がけるデザイナー、相澤陽介をディレクターに迎えましたが、秋冬の新作として発表されたのが「シップロック」と命名されたバッグです。定番の「バチュー・クロス」を使い、人気のキャリーオールをベースに、ハンティングジャケットをモチーフにしたバッグに仕立てています。「バチュー・クロス」のオレンジも新色で、インパクトは十分。機能的なポケットやDカンなどのディテールが、アウトドアブランドとしての出自を物語ります。今季、名作のバッグに新しい1ページが加えられました。

シンプルなスエードのプレーントウですが、どこかで見たような気がすると思った人はそうとう勘の鋭い人です。この靴のもともとのデザインはトラッドの定番として知られる英国のクラークスのデザートブーツ。その名靴をくるぶしから下でカットしてしまったのです。モデル名は「デザート ロンドン」。90年代に日本のセレクトショップからの依頼で製作したアーカイブモデルを、今シーズン、国内では新宿伊勢丹のみの数量限定で復刻させました。デザートブーツからの派生モデルである「デザート カーン」からの木型を用い、素材は英国の老舗タンナーとして知られる「CFステッド」社のスエードを採用。さらに履きやすくなったデザインで、カジュアルな装いに、洗練された印象をもたらすはずです。

オーセンティックブランドと手を組んだアイテムを毎シーズン展開する、「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン」。今年の秋冬シーズンでは、「カナダグース」とのコラボレーションが早くも話題を呼んでいます。掲載のジャケットは、デザイナーズとしての主張が控えめなアウトドアウエア。カナダグースらしさが濃厚なハリ感のある赤い表地は、綿エステル素材の頑丈なグログラン生地です。インナーは滑りのいい黒の化繊生地になっています。着こなしは、ほどよい長さの腰を覆う着丈を活かして、コート代わりにスーツの上に羽織るのがオススメです。シルエットもベーシックなので、流行に左右されず長く着続けられるはず。アウトドアの感性を都市生活に持ち込んだ、機能美に満ちた現代人必須のアウターです。