【実力派ショップを巡る、東京古着案内】Vol.3 人気スタイリストに聞いた、贔屓の店。
東京古着の最前線といえる、群雄ひしめく実力派の古着屋を全6回に分けてご紹介。第3回は、人気と実力を兼ね備えたスタイリスト4人に、足繁く通う古着屋を聞いてみた。
1.ヴェルヴェット(下北沢)──“カッコいい”を突き詰めた、力強いアイテム群。
2.ドージョー(代々木八幡)──日本未発売のレアものを、良心的なプライスで。
東京古着の最前線といえる、群雄ひしめく実力派の古着屋を全6回に分けてご紹介。第3回は、人気と実力を兼ね備えたスタイリスト4人に、足繁く通う古着屋を聞いてみた。
1.ヴェルヴェット(下北沢)──“カッコいい”を突き詰めた、力強いアイテム群。
2.ドージョー(代々木八幡)──日本未発売のレアものを、良心的なプライスで。
ファッション雑誌や大手企業の広告、タレントやミュージシャンのスタイリングなどを手がけている壽村太一が薦める店は、元雑誌編集者というオーナーが独学でスタートした、下北沢の「ヴェルヴェット」。経歴が異色なら、そのラインアップも異色だ。バイイングする視点に年代や希少性、性別といった固定概念はない。選りすぐられた服の基準はずばり、“男が着てカッコいい服”。スパンコールが全面にちりばめられたジャケットを筆頭に、ダメージ入りのフーディや総柄シャツなど艶感のあるアイテムはどれも唯一無二の存在感を放っている。壽村も「スタイリングのポイントになるような、強い服が欲しい時に足を運ぶ」と教えてくれた。こと古着選びにおいてはついウンチクを並べてしまいがちだが、その服を自分がカッコいと思うか否か、判断基準はそれだけでいいのかもしれない。
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ヴェルヴェット
東京都世田谷区北沢3-26-3 スズランビル 1F
TEL:03-6407-8770
営業時間:13時~21時
不定休
http://velvet.pw
メンズファッション誌を中心に活躍し、遊び心のあるミックススタイルを得意とするオクトシヒロが選んだ店は、代々木八幡にある「ドージョー」。「すべてがオーナーのフィルターを通してちゃんとセレクトされている」とオクトシヒロは話す。取材時にリーバイスのヴィンテージデニムが吊るされたラックを、オーナーが「たまにコテコテも食べたくなる」とラーメンにたとえて説明してくれたが、他はレギュラー古着からデザイナーズ・アーカイブまで種々さまざま。その中でオクがお薦めしてくれたのは、ザ・ノース・フェイスやニューバランスといったブランドのアメリカ企画ものだ。大きめのサイズといい意味で大雑把なデザインが特徴で、古着との相性も抜群。日本では買えないアイテムに絞りつつ、万が一同じ品が国内で流通していたら絶対に定価以下で販売するというカスタマーファーストな値段設定も魅力だ。
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ドージョー
東京都渋谷区元代々木町9-8
TEL:03-6884-2425
営業時間:14時~22時
不定休
http://dojoe-tokyo.tumblr.com
メンズやウイメンズを問わない、オリジナリティあふれるスタイリングを得意とする石井大が挙げてくれたのは、学芸大学にある「トランポット」。頻繁に通う理由を聞いてみると、「他の古着屋なら目もくれないような服からデザイナーズまで、フラットな目線で吟味してバイイングしているから。その姿勢と世界観にシンパシーを感じるんです」と語る。全幅の信頼を寄せる、オーナーの審美眼がそこにはあった。サイズが極端に大きかったり、幾度も洗われることで表情が変わっていたり、よく見ると笑えるプリントだったり。モノとしては一般的でも、ストーリーを伴う個性豊かなアイテムを揃える。年代にも国にもテイストにも縛られない独自のセレクトが、玄人を引きつける理由になっている。商品は毎日入荷するため、足繁くショップを訪れたい。
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トランポット
東京都目黒区鷹番3-18-18
TEL:03-5773-4210
営業時間:15時~23時
不定休
http://trampot.theshop.jp
ファッション誌やカルチャー誌を中心に、俳優やミュージシャンのスタイリングも手がける檜垣健太郎が選んだ店は、吉祥寺にある「チェリーラヴィル」。店主は、今年3月に閉店した老舗「ミント」の元オーナーのひとり。約20年のキャリアを経て行き着いたのは、気軽に買える古着屋だった。檜垣も「よくリサイクルショップで古着を買っているせいもあり、好きなのは安くてちょっと変な掘り出しもの。ワクワクしながら古着を見ていた感覚を思い出させてくれます。マイペースなセレクトと良心的な価格が好きです」と魅力を挙げる。10,000円以上の値付けはなるべくしないポリシーで、おもなプライスレンジは税抜き3,900~5,900円。山積みのTシャツもラックに目一杯詰まったアウターも、多くがその価格帯に収まっているから驚きだ。ピュアな気持ちで、古着を掘る楽しみを味わおう。
チェリーラヴィル
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-15-1 オリエントマンション2F
TEL:0422-43-0956
営業時間:12時~20時
不定休
http://cherryloville.blog.fc2.com
●掲載した商品はいずれも古着のため、完売している場合がございます。
●新型コロナウイルス感染防止など諸事情により、ショップの営業日時、内容、サービスの変更が急遽行われる場合がございます。その都度確認してください。
新しい生活が始まり、目に映る風景は変わってはいないものの、日常に確かな変化を感じる。たとえば自分の時間と向き合った瞬間に。ほんのささいな充足感であっても、だからこそ大切にしたいと思うのだ。「カンパノラ」は、そんな時をともに過ごし、その喜びをもたらしてくれる。文字盤は無限の宇宙を思わせ、太陽の光によって確かな時を刻み続ける。それと呼応するムーンフェイズも美しい。日常がなによりも愛おしくなるのだ。
時間は生活に欠くべからざる社会規範であり、腕時計は身近でそれを計る大切な道具だ。だがそのことを意識し、時刻を知るためだけに着ける者はいないだろう。よりパーソナルな存在として気持ちを投影し、自分らしく生きるための道しるべになるといっていい。カンパノラはまさに腕元の相棒だ。
文字盤は、時刻を示す3本の針を中央に、上部に日付、左右に曜日と月を表示する。円をモチーフに何層にも立体的に連なる様子も美しい。なかでもとりわけ存在感を湛えるのがムーンフェイズだ。塗り重ねた漆に螺鈿を施した銀河に、精細な月が浮かび、その美しさに見惚れてしまう。それは一杯のコーヒーのもたらす至福にも似ているかもしれない。ていねいに豆を挽き、じっくりと時間をかけて淹れる。その一つひとつの手間が期待を高め、漂う薫りに既に深い味わいは始まっているのだ。静謐な時を刻むカンパノラの針が、せわしない日常から解放してくれる。
人間は、天空の動きから時間の概念を生み出した。太陽が上り、沈む。代わって現れる月は満ち欠けし、姿を変える。時間と暦とがそこにあり、カンパノラの文字盤から想起するのも太陽と月だ。天頂の太陽を思わせるポインターデイトと対照的に、広がる夜空に月が浮かぶ。月のバイオリズムは、植物の生育を通し農業や林業に大きな影響を与え、さらに潮位の変化は漁業や航海において重要な役割を担っていた。現代の日常では月齢の実用性は高いとはいえないまでも、キリスト教のイースターの復活祭は毎年春分の満月から決まるように、宗教や生活習慣に確実に残っている。むしろ季節の感覚さえも薄れがちな都市生活だからこそ、ムーンフェイズという大いなる自然界の暦は必要なのかもしれない。それが常に腕元にあるという安心感とともに、ときには夜空の月を見上げる気持ちの余裕さえも与えてくれるだろう。
休日の夜、明日から再び始動する日常に向けて準備を整える。格好のウォーミングアップになるのがアイロンがけだ。クリーニングに出すのもいいけれど、自分の手で仕上げることでお気に入りのシャツへの愛着も増す。アルコールを軽く嗜み、新しい1週間に思いを馳せながら一心に手を動かす。LPレコードを返すタイミングもひとつの区切りだ。たとえリモートが常態化しても、これは変わらぬ気持ちの整え方であり、なにより気分転換なのだ。
そんな腕元にはカンパノラが似合う。太陽の光で駆動するエコ・ドライブを搭載し、文字盤の外周に設けたリングソーラーセルで受光することで、文字盤は透過性を必要とせず、多彩な装飾も可能にした。ことさら気負うことなく、フルカレンダーやムーンフェイズを動かすにも十分なパワーを自然に蓄えるということだ。そしてリラックスした時間を過ごしているうち、いつしか気持ちも充電されるのである。
カンパノラは2000年の誕生以来、変わることなく“宙空の美”をデザインコンセプトに掲げてきた。それは、支柱でせり上がった五徳リングをはじめとする多層構造による建築物のような文字盤に由来する。ドーム状のガラスに遮られた三次元空間は、まさに無限の宇宙であり、刻み続ける針の動きは、時間には絶対的な長さだけでなく主観的な奥行きがあることを改めて感じさせるのだ。量と質という時の深遠に触れる。そんな示唆に富むのである。
各モデルには、個性によって天満星(あまみつほし)、天彩星(あまいろほし)、紺瑠璃(こんるり)といった名が付けられ、手に取ればそれぞれの情緒的な世界観が伝わってくるだろう。文字盤には、ブランド名の由来となり、紀元5世紀に史上初めて人々に時を知らせたといわれる教会の鐘カンパノラベルをモチーフにしたマークを記し、時と人の関わりというロマンティシズムをいつだって感じさせる。