【実力派ショップを巡る、東京古着案内】Vol.2 日常を彩る、ライフスタイルグッズも充実。
東京古着の最前線といえる、群雄ひしめく実力派の古着屋を全6回に分けてご紹介。第2回は洋服だけでなく、インテリアや雑貨も充実した古着屋をピックアップした。
1.ミスタークリーン(富ヶ谷)──アメカジの名店が、奥渋谷に移転オープン
2.ダスク(松陰神社)──90年代を彷彿させ、審美眼が光る品揃え。
東京古着の最前線といえる、群雄ひしめく実力派の古着屋を全6回に分けてご紹介。第2回は洋服だけでなく、インテリアや雑貨も充実した古着屋をピックアップした。
1.ミスタークリーン(富ヶ谷)──アメカジの名店が、奥渋谷に移転オープン
2.ダスク(松陰神社)──90年代を彷彿させ、審美眼が光る品揃え。
アクセス面でのハードルが高かった横浜から渋谷区富ヶ谷に場所を移し、「ミスタークリーン」が今年3月にリニューアルオープンした。商品数も従来の約1.5倍に増え、ファンにとっては嬉しい限り。近年、球数が減ってきた年代物のリーバイスのデニムジャケット、チャンピオンのリバースウィーブ、メイド・イン・USAのコンバースオールスターといった古きよきアメカジアイテムが中心。ここには「以前は普通にあったものを適正価格で提供したい」という真摯な思いが表れている。
また、ナバホ族のラグやヴィンテージフィギュアなどアメリカ西海岸の土地に根付いた生活雑貨を扱っているのも見逃せない。衣住両面でアメリカを体感できる良店だ。
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ミスタークリーン
東京都渋谷区富ヶ谷1-35-4 セトルMS代々木公園 1F
TEL:090-2206-1755
営業時間:12時~20時
定休日:月
http://kurikurivintage.shop-pro.jp
「ダスク」というショップをひと言でカテゴライズするのは難しい。畳の上にスケートシューズが広げられているかと思えば、壁には90年代のヘルムートラングのモッズコートを無造作にディスプレイ。目を落とせば日本人作家によるたおやかな陶器が並び、壁一面にはUS、UK問わず大量のロックミュージシャンのヴィンテージポスターが額装されている。言葉にするとジャンルレスでも不思議とまとまりがあるのは、店内に並ぶ商品に100%オーナーのライフスタイルが反映されているから。ジャンルレスな空間だが、並ぶ古着はアウトドアブランドがメイン。パタゴニアにグラミチ、ヴァンズといったブランドは、50代のオーナーと共通の体験を有してきた同世代にはたまらないラインアップだ。
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ダスク
東京都世田谷区世田谷4-2-12 共悦マーケット 8
TEL:03-6413-5104
不定休 ※営業日時が変則的なため、その都度お店のインスタグラムを確認してください。
www.instagram.com/dask4212
ベーシックなものが常にある。それこそが、長年「オルゴー」が東京で支持されてきた理由だ。近年はアメリカものの分量も増えたが、オルゴーといえばやはりヨーロピアンワーク&ミリタリー。普遍的かつアメリカのヴィンテージとは対極にある、やわらかい色づかいやデザインが魅力のアイテムは普段、新品しか着ない人も抵抗なく取り入れられるはず。品質や状態には特にこだわり、店内で取り扱う商品の中には良質なデッドストックも。1階の一部と2階の大部分を生活雑貨が占めるのもまた、オルゴーらしさ。オイルランプやキッチンスツールなど、日常生活に寄り添うグッズが多い点も中目黒という土地柄にマッチしている。
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オルゴー
東京都目黒区上目黒1-10-6
TEL:03-3463-0509
営業時間:13時~22時(1F) 15時~20時(2F)
不定休
実力店がひしめく人気の学芸大学エリアに、2018年11月にオープンした「イシュー」。玄人を唸らせる1930年代以降の価値あるヴィンテージと最新のファッショントレンドを汲んだ90年代のエッジの効いたアイテム、さらにはイッセイミヤケやメゾンマルタンマルジェラなどモードブランドも揃う商品群は、オーナー自らが「偏屈」と語るほどに個性的。古着屋にいることを忘れさせられる、ギャラリーのようなソリッドな内装も一見の価値あり。ファッションアイテムのみならず、1910年代から1960年代にかけてつくられた貴重なアメリカ製のキルトラグや、インテリアオブジェとしても活用できるほど美しいデザインの、バオバブコレクションのディフューザーにも注目したい。
イシュー
東京都目黒区鷹番2-13-9 サカイビル 1F
TEL:03-3712-1838
営業時間:15時~24時
不定休
http://issue.theshop.jp
●掲載した商品はいずれも古着のため、完売している場合がございます。
●新型コロナウイルス感染防止など諸事情により、ショップの営業日時、内容、サービスの変更が急遽行われる場合がございます。その都度確認してください。
ロイヤル コペンハーゲンはデンマークの王立製陶所として1775年に創業した。以来、現在までこの国の王室御用達のテーブルウェアブランドであり、北欧のものづくりの代名詞であり続けている。熟練の手仕事による高度なクオリティと、長い歴史に裏づけられた気高さは、時代に左右されない価値をもつものだ。
ただしロイヤル コペンハーゲンは、常に新しいデザインに取り組むブランドでもある。その伝統の延長線上に名作と呼ぶべきものをいくつも生み出してきた。なかでも近年、最もエポックメイキングなシリーズは「HAV」(ハウ)に違いない。建築事務所「BIG」を率いるデンマークの著名建築家、ビャルケ・インゲルスらによるデザインチーム「KiBiSi」(キビシ)を起用し、ハウが発表されたのは約2年前。それはブルーの花柄で彩られたロイヤル コペンハーゲンのイメージを一新する、きわめて大胆なものだった。
KiBiSi(キビシ)
デンマーク生まれの3人が2009年にスタートしたデザイン・ユニット。家具、日用品、電気製品など、各々の持ち味を活かした幅広いデザインを手がける。
キビシの3人がハウをつくる過程でインスピレーションを得たものに、デンマーク北西部のコールド・ハワイと呼ばれるコミュニティがある。北欧有数のサーフスポットだが、その名の通り温暖な場所ではない。都会に住む人も、ここでは波とひとつになり、ありのままの自分に還っていく。海で冷えた身体を温めてくれるのは、仲間たちと囲む食事だ。シンプルゆえに本質的なライフスタイルは、現代における真のラグジュアリーと言えるのではないだろうか。ハウは、そんなシーンにふさわしいテーブルウェアとして発想された。
一連の器に用いられたグレイッシュなブルーは、まさに北欧の海の色そのものだ。職人が2種類の釉薬を吹き付け、焼成の過程で釉薬が混じり合い、独特の色彩をつくり出していく。波打つ海面にも、魚の鱗のようにも見えるレリーフは、1892年に発表された歴史的コレクション「シーガル」のパターンを参照した。
今年、ハウに新しく加わったジャグに象徴される、自然の造形を思わせるフォルムも印象深い。このジャグは、以前からラインアップされていたカラフェを小ぶりにしたような形をしている。カラフェは、海面から飛び立つ白鳥の胸をイメージして、首元から徐々に色が薄くなるグラデーションを施していた。新作のジャグはそれとは逆に、底から上に向かってのグラデーションが美しい。ダークブルーの水面に降り立つ白鳥を連想せずにはいられない。
またプレートには、いままでよりもひと回り小さく、使い勝手に優れた直径17㎝のタイプが加わった。既存のプレートと重ねると、まるで波紋のようなパターンが生まれる。ジャグやカラフェと組み合わせることで、テーブルの上に静かなストーリーが展開していく。
これまでのロイヤル コペンハーゲンの世界観を一新する、ハウがつくり出す澄みきった風景。ただしブランドに受け継がれるクオリティと気高さに、妥協はない。これは豊かな伝統から生まれた現代の器なのだ。
今秋、発表されるロイヤル コペンハーゲンの新作を手がけるのはガムフラテージ。そのモチーフと、発想のルーツをたどる。
伝統的なパターンに、新しい生命を吹き込む
ガムフラテージは、いま人気が急上昇しているコペンハーゲンのデザイン・デュオだ。それぞれの出身国であるデンマークとイタリアの感性を融合させ、さらにオリジナリティを確立した作風がジャンルを超えて評価されている。たとえば2019年発表の「ブルーミスト」は、彼らが手がけたパリの北欧レストランのためのテーブルウェアで、ブルーと白い素地のコントラストが鮮やかだ。
ふたりは21年秋の発表に向けて、ロイヤル コペンハーゲンと新しいプロジェクトを進めている。「ロイヤル クリーチャー」と名付けられるこのシリーズは、海中、水辺、その周辺という3つの場所に棲む生き物がモチーフ。クラシックな印象の「プリンセス」シリーズをベースに、その表面を魚、虫、水棲生物などの姿で彩る。この絵柄は、ロイヤル コペンハーゲンが創業時から用いてきたブルーフルーテッドのパターンを分解し、再構成して描かれるという。ブルーフルーテッドはこのブランドのデコレーション番号「No.1」であり、200年以上の歴史を象徴する絵柄だ。
簡潔で洗練されたイメージのあるガムフラテージだが、ふたりは遊び心を大切にするデザイナーでもある。ロイヤル クリーチャーは、意外性あふれる着想に基づき、伝統的な絵柄から新しい魅力を引き出す試みだ。ハウに引けを取らない斬新さをもつ一方で、ロイヤル コペンハーゲンのベーシックな器とも見事な調和を見せる。
ブランドの新たな歴史を刻む、次なるプロジェクトの全貌が明らかになるのを楽しみに待ちたい。