構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン™️」を用いた、Goldwinのサステイナブルなセーターとは。
サステイナビリティ(持続可能性)と着心地の両方にこだわり抜いたセーターがこのほど誕生し、抽選販売を開始した。スポーツ用品大手ゴールドウインの社名を冠したオリジナルブランド「Goldwin」と、構造タンパク質素材の開発で知られる「スパイバー」が手がけた「The Sweater(ザ・セーター)」だ。両社の共同開発製品の第3弾となる。
ザ・セーターの大きな特徴は、主原料を枯渇資源である石油原料に頼らず、植物資源をベースに作られた「ブリュード・プロテイン」と呼ばれる構造タンパク質素材を使用している点だ。スパイバーの先端技術を用いて、サトウキビやトウモロコシといった植物の糖類を栄養源にした微生物発酵のプロセスを経て、アパレル製品に適したタンパク質を生成している。ビールやワインなどの酒類を醸造する(ブリュー=brew)過程に似ているため、ブリュード・プロテインと名付けられたという。スパイバー執行役兼ファイバーテキスタイル部門責任者の安部佑之介氏は、開発経緯をこう振り返る。
「タンパク質は20種類のアミノ酸でできていて、その組み合わせによって、例えば、人間の爪になったり、髪の毛になったりします。無数にパターンがあるタンパク質から研究を重ねて衣類に最適なものを探し出しました。そして環境を考慮しながらも、品質も突き詰めています」
素材の内訳はブリュード・プロテインが30%のほか、質感を考慮してウールやカシミアの毛素材が70%入っている。それらを混紡した繊維を何度もツイストすることで強度を高めたという。ゴールドウイン事業部長の新井元氏は次のように説明する。
「ザ・セーターはゴツくて、耐久性のあるしっかりとしたものになりました。昔のセーターを思い出させるクラシックなイメージですが、一方で高品質な毛素材が着心地や手触りの良さを生み出している。街でもアウトドアでもどんどん使ってもらいたいと思っています」
今回、クラシックなセーターをデザインしたのには理由がある。1951年にメリヤス(機械編み)工場として創業したゴールドウインが初めてスポーツ分野に進出した際の製品がセーターだったのだ。その後、ブランドのスキー市場への参入にあたっても、その発展に大きく貢献したのがスキー向けのセーターだった。
「セーターは我々ゴールドウインの出発点と言えますし、人類の歴史を振り返ってもおよそ1000年前から狩猟や漁業などの防寒衣料として使われてきましたものです。『昔』をイメージしたセーターをブリュード・プロテインという非常に可能性のある新素材を使ってつくることで、過去と今をつなぎ、そして未来へ向け発展的なものづくりをスタートさせる意味合いを込めています」
ものづくりにおける姿勢や方向性において互いに共鳴したというゴールドウインとスパイバー。ブリュード・プロテインを使った製品開発をはじめサステイナブルな取り組みに込める思いを両社のふたりは熱く語った。
安部氏は「消費者がサステイナブルな商品だから品質には目を瞑るといった妥協を含む選択ではなく、地球環境やクオリティなどどれをとっても良いというポジティブな選択を提供していきたいです。価格については近い将来、海外の工場を稼働させ、素材の量産体制を整えることでより手に届きやすくしていきたいと考えています」と述べた。
新井氏は「(サステイナブルな製品開発については)待ったなしだと思っています。アウトドア製品を中心に事業展開する当社の使命として率先して取り組んでいきたいと考えています。顧客へのサービスを劣化させずに転換していくのが大きな課題ですが、一つ一つチャレンジしていきます。その上で、ブリュード・プロテインは世界を新しくする可能性があります」と力を込めた。
枯渇資源に頼らない構造タンパク質素材は、持続可能な服づくりに大きく寄与しそうだ。今後どれくらい日本、そして世界で広まっていくのか、注目される。
問い合わせ先/ゴールドウイン カスタマーサービスセンターTEL:0120-307-560