そっくり過ぎ? 「歴代アメリカ大統領」の着こなしまでよくわかる6本の映画。
2021年1月20日(日本時間では1月21日)に行われるアメリカ大統領就任式。では、映画作品の中で歴代アメリカ大統領はどのように描かれていたのか。着こなしなどにフォーカスしながら、6本の映画を中心に紹介する。
1.ジョン・F・ケネディを生き生きと描いた『13デイズ』
ある時期までに生まれたアメリカ人ならば、1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたという一報を自分がどこで聞いたか、すぐに思い出すことができる。そんな話をアメリカで聞いた覚えがある。最近のアメリカ人ならばそれは2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件が当たるだろうし、日本人の場合は2011年3月11日に襲った東日本大震災と考えれば、その瞬間の衝撃を容易に想像できるのではないだろうか。
それだけが理由ではないだろうが、歴代大統領の中で最も映画作品の中で取り上げられているのは、第35代大統領のケネディに違いない。そして、やはり彼の暗殺事件を題材にした作品がほとんどだ。
古くはバート・ランカスター、ロバート・ライアンが出演した『ダラスの熱い日』(1973年)。オリバー・ストーンが監督し、ケネディの頭文字をそのままタイトルにした『JFK』(1991年)。暗殺の瞬間を撮ったザプルーダー・フィルム(撮影したアマチュアカメラマン、エイブラハム・ザプルーダーの名から)をテーマにした実録ドラマ『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013年)。あるいは夫人であるジャクリーン・ケネディにスポットを当てた『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016年)などがそれだ。どれも当時のドキュメンタリーフィルムをそのまま使った作品ばかりで、ケネディに扮した役者が画面に登場するのはチラ見え程度に過ぎない。ケネディが生き生きと動き回っている姿が再現された映画はほとんどないと言っても過言ではない。
それを上手に再現していると私が思ったのは、1962年に起こったキューバ危機を題材にした『13デイズ』(2000年)だ。ケネディ大統領をブルース・グリーンウッドが演じ、ケビン・コスナー演じる大統領特別補佐官らとともに最悪の核戦争を回避するために活躍する作品。実話をもとにしたスリリングな筋立てだが、ケネディの着こなしも実によく再現されている。シェイプしたネイビーのスーツのボタンをふたつとも掛けてしまうケネディのクセも忠実に描いているし、細かい話で恐縮だが、政治家になってボタンダウンを着なかったスタイルも忠実に描いている。グリーンウッドのケネディは本人よりも細身で優男のようにも見えるが、佇まいは似ていると感じた。
『13デイズ』
監督/ロジャー・ドナルドソン
出演/ケビン・コスナー、ブルース・グリーンウッド、スティーブン・カルプ
2000年 アメリカ映画 2時間25分
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