フランソワ・オランドが愛用した、歴代フランス大統領御用...

フランソワ・オランドが愛用した、歴代フランス大統領御用達の革靴。

文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
イラスト:Naoki Shoji

『政治家の条件』(岩波新書)で、経済学者の森嶋道夫は「政治の指導者には、燃えるような信念と共に冷静な現実感覚が求められる」と書く。では歴史に名を留める政治家たちは“モノ”に対してどんな視点を持ち、何を求めたのだろうか? 今回は、古今東西のリーダーたちが愛した名品を追う。

モデル名は「パンチドキャップトゥオックスフォード #310」。ジェイエムウエストン伝統のグッドイヤーウェルト製法を用いられたモデルで、アッパーの素材はカーフ。パーフォレーションがフロントからサイドまで施されている。さまざまなシーンで使える一足だ。¥132,000(税込)/ジェイエムウエストン

現在のフランス大統領は2017年に39歳という若さで大統領に就任したエマニュエル・マクロンだが、その前任者が、第24代フランス大統領フランソワ・オランドだ。2012年に大統領に就任し、5年間務めた。

オランドはノルマンディ地方の古都ルーアンで、裕福な医師の家庭に生まれた。国立行政学院(ENA)をはじめとするエリート校を卒業後、ミッテラン政権下で大統領の経済政策担当の顧問に就任。2012年に、当時の現職大統領だったサルコジに勝って第五共和政下7人目の大統領となった。プライベートではENA時代に同級生だったセゴレーヌ・ロワイヤルと婚姻届を出さずに事実婚を続け、4児をもうけている。

そんなキャリアを持つオランド元大統領が愛用したのが、フランス屈指の名靴ブランドのジェイエムウエストンである。1891年、エドゥアール・ブランシャールが創業したブランドだ。後に次男のユージェーヌが加わり、アメリカ留学でグッドイヤーウェルト製法を習得。上質な素材と職人的なつくりの靴が評判となった。1922年にはパリのクルセイユ通りに1号店、32年にはシャンゼリゼ通りにも店を開き、パリのお洒落な名士たちが集う社交場になったという歴史がある。

オランド大統領がお気に入りだったのが、アッパーにメダリオン(花状の穴飾り)が施されたオックスフォードタイプの靴だ。残念ながら彼愛用のモデルは廃盤になってしまったが、現在販売されているモデルでは「パンチドキャップトゥオックスフォード#310」がそれに近い。伝統的なパーフォレーションをフロントとサイドに配したモデルで、グッドイヤーウェルト製法だが、フランス生まれらしいフォーマルでエレガントな味わいを残している。適度にカジュアルな、公式な場所でも通用するデザインだ。

ちなみにオランド元大統領だけでなく、フランソワ・ミッテランからジャック・シラク、ニコラ・サルコジ、オランドの後任のエマニュエル・マクロンまで、第21代から25代のフランス大統領は全員、ジェイエムウエストンの靴を愛用している。フランス大統領御用達のシューズブランドだと断言しても過言ではない。

フロントとサイドに入ったパーフォレーションの仕上げが美しい。紳士のどんなドレススタイルにも似合う靴と言えよう。

100年以上の歴史を持つ、フランスを代表するシューズブランド。現在もフランスのリモージュに自社工場を構えている。

ソールはレザー。グッドイヤーウェルト製法なので、ソールも張り替えも可能。まさに一生ものの靴だ。

問い合わせ先/ジェイエムウエストン 青山店 TEL:03-6808-1691
https://jmweston.jp/

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