「ポップ・ショップ トーキョー」での来日時に着用していたスタジアムジャンパー
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一1986年にニューヨークで「ポップ・ショップ」を開いたキース・へリング、88年には早くも東京に2店舗目の「ポップ・ショップ トーキョー」をオープンさせた。輸送用の巨大なコンテナを繋ぎ合わせて大きな空間にした、彼らしいつくりのショップだった。オープニングに合わせて来日し、チョークで路面にドローイングした際に彼が着ていたのがスタジアムジャンパー、通称スタジャンだ。
このスタジャン、アメリカでは「アワードジャケット」「バーシティジャケット」と呼ばれるもので、主にベースボールのベンチ用に着られることが多かった。日本では1980年代に「MA-1」とともに爆発的な人気を博したアイテムで、彼が来日していた時期とも重なる。彼が着ていたのは、前身頃はもちろんのこと、背中にまでレターなどが刺繍されたモデル。そのスタジャンに近いモデルをつくるのが、渋谷の名店バックドロップだ。
アメリカで多くのスタジャン制作に携わってきたヒューイットという老舗に別注したもので、「“3DB”フルデコ スタジアムジャケット」がモデル名。ボディに良質なウールフェルト、袖にレザーを使い、キースが着ていたスタジャンと同じラグランスリーブが特徴的。もちろんいまでは希少となったメイド・イン・アメリカのジャンパーで、バックドロップでもロングセラーを誇るアイテムの代表だ。彼の描く作品と同様に、永遠の輝きを湛えるようなジャンパー。一生モノとして手に入れたくなるではないか。