黄色いトラックスーツとともにブルース・リーを象徴する、オニツカタイガーのスニーカー
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一ブルース・リーが映画『死亡遊戯』(78年)で着用したのが、黄色地に黒のストライプが入ったトラックスーツだ。『ブルース・リー伝』(マシュー・ポリー著、亜紀書房刊)には、スイスでの休暇でロマン・ポランスキーが貸してくれたジャンプスーツから着想を得たと書かれている。この印象的なトラックスーツに合わせていたのがオニツカタイガーのトレーニングシューズだ。映画の中では通常とは違うラインにも見えるので、「これはオニツカタイガーではない」と論争まで起こった。しかし『ブルース・リー トレジャーズ』(ポール・ボウマン著、トレジャーパブリッシング刊)やビジュアルブック『Bruce Lee: The Authorized Visual History』(スティーブ・ケリッジ著、カールトンブックス刊)には、同映画の撮影風景のカットでリー本人がオニツカタイガーを履く写真が掲載されている。少なくとも映画のリハーサルや映画に登場しないカットではオニツカタイガーのシューズを履いていることは確実だ。アシックス スポーツミュージアム・アーカイブ担当部長の福井良守氏は「彼は昔から個人的にオニツカタイガーを愛用していたと聞いています」と話す。
ちなみに『燃えよドラゴン』(73年)で武術トーナメントに参加した格闘家のウィリアムズ(ジム・ケリー)が同ブランドのシューズを履いている。
今回紹介する「メキシコ66」は、同ブランドを代表するモデルで、イエローとブラックのカラーリングが『死亡遊戯』でリーが履いたシューズを連想させる。俊敏にステップを踏み、目にも止まらぬ速さでキックを打ち込むリーの動きを薄底・細身のデザインが特徴のこのシューズが支えたのだろう。
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