貴族的にふるまうアレックスが纏う、バンドカラーのウエス...

貴族的にふるまうアレックスが纏う、バンドカラーのウエスタンシャツ

文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一

厚手のコットンを使ったバンドカラーシャツで、後身が少し長くなった独特のつくり。ウエスタンシャツのディテールを取り入れながらも背中や袖口にレースを配し、このブランドらしい世界観を表現している。¥44,000(税込)/チルドレン オブ ザ ディスコーダンス (スタジオ ファブワーク)

映画『時計じかけのオレンジ』の主人公アレックス、ピート、ジョージー、ディムの4人の「ドルーグ」たちが揃って着ているのは、生成りの上下だ。パンツの上から腰にボクシング用の股間ガードプロテクターのようなものを付けているので腰の部分がわからず「つなぎ」のようにも見えるが、実は上下別々のシャツとパンツを着用している。

「オレがいた。名はアレックス」と始まる冒頭のシーンで、アレックスの着ていたバンドカラーシャツがアップで映る。このシャツが面白い。アレックスが着ていたのはウエスタンシャツのディテールを取り入れたバンドカラーシャツだ。両肩に山型のヨーク(切り替え)が入り、ポケットのフラップデザインもウエスタンシャツふう。フロントや袖口のボタンも、脱ぎ着が容易なドット式で、これもウエスタンシャツに採用されるディテール。しかし襟がバンドカラーというところが独特で、これは普通のウエスタンシャツではほとんど見られないデザインだ。

そんなアレックスが着ていたものに近いシャツを見つけた。チルドレン オブ ザ ディスコーダンスのシャツだ。2012年スタートのブランドで、デザイナーは志鎌英明。彼が体現してきたユースカルチャーやヴィンテージウエアを、彼独自の視点で再解釈し、コレクションを製作する。

このシャツ生地の色合い、バンドカラー、肩のヨーク、ドットボタンのデザインは、アレックスのシャツを連想させる。さらに、舞台衣装のような雰囲気を放っている点にも注目したい。背中全体や袖口にはレースが使われ、クラシックでゴージャスな印象で、映画の中で貴族ふうの着こなしもするアレックスの役柄にマッチしている。

襟はバンドカラーでクラシックだが、両肩に入った山型のヨークでウエスタンシャツふうなデザインに仕上げている。

背中にもヨークが入っている。この点も、ウエスタンシャツを彷彿させる。背中には全面にレースが使われていて、ゴージャス。

2012年に日本で誕生した、チルドレン オブ ザ ディスコーダンス。ブランド名のdiscordance(ディスコーダンス)とは「不調和」を意味している。

貴族的にふるまうアレックスが纏う、バンドカラーのウエス...