常に未来を見据えるジョブズのお眼鏡に適った、ルノアのアイウエア
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一「シンプルであることは、複雑であることよりも難しい」。これはスティーブ・ジョブズの言葉だ。ジョブズがつくるApple製品の基本はいわば、引き算の美学。だから「3回以上ボタンを押させるな」「最先端のハイテクを普通の人にも使い方がわかるように届けろ」とスタッフに命じた。ジョブズの眼は常に未来を見ている。
そんなジョブズのお眼鏡に適ったアイウエアが、ドイツのルノアだ。デザイナーでアンティーク眼鏡の収集家としても知られていたゲルノット・リンドナーが創業したブランドで、つくられる眼鏡は16〜20世紀のアンティークをベースに、現代的なかけ心地などを追求してデザインされている。多くの作業が人の手で行われ、200前後の工程を経てつくられる眼鏡は完成に2カ月を要すると聞く。
ジョブズが愛用したアイウエアは「Classic Round」というモデル。上の写真は「AG」というカラーで「アンティークゴールド」の略だが、一説にはジョブズは同じモデルでもさまざまな色をかけていたという。
ラウンド、つまり丸眼鏡のデザインだが、フレームの外枠であるリムがなく実にシンプルで、しかも軽い。ブリッジ部分が鼻にかかりやすいように湾曲している。ブリッジそのものがパッドに近い役割を果たしているのでパッドは付いていない。これもこのアイウエアがシンプルに見える秘密であろう。
ジョブズは、既存のレンズよりもやや大ぶりなサイズのレンズを付けていたという話もある。製品にも着こなしにもシンプルさを求めた、ジョブズらしい眼鏡ではないだろうか。
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