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初作を再び手がけた、マーガレット・ハウエル50周年の記念シャツ
服づくりにおいて、時代のムードを反映しつつ、ブランドの根幹を守り続けることは容易ではない。マーガレット・ハウエルが長らく支持を集めてきた理由は、そのさじ加減、その”さりげなさ”だろう。今回紹介するシャツには、50年分の技術と信念が詰まっている。
デザイナーのマーガレット・ハウエルがその名を飛躍させることになったのは、あるアイテムとの出合いによる。1970年、まだ駆け出しの彼女がとあるバザー会場で手にしたのは、やわらかな風合いの生地に繊細なステッチワークが施されたビスポークシャツ。当時の英国では、華美なデザインや糊の効いたシャツが主流であり、質素で洗いざらした風合いのシャツには、誰も関心を示さなかった。しかし、それに魅了された彼女は、自宅のキッチンでシャツづくりを始める。糊を使わず、着心地を重視したシャツを発表すると、その実用性が受け入れられた。ビスポークの国で認められたカジュアルシャツは高く評価され、UK版ヴォーグには「英国の伝統を打ち破ったデザイナー」として迎えられた。肩肘張らずに着こなせるシャツは、業界にも大きな変化をもたらしたのだ。
それから50年の節目にリリースされるのは、彼女が最初にデザインした(業界に新風を吹き込んだ)シャツである。生地は、70年代からオーダーし続けている、スコットランドの老舗「デイビッド&ジョン・アンダーソン」のシーアイランドコットンを使用。光沢感や軽さ、肌触り、耐久性など、すべてにおいて最高品質。縫製は自社工場の熟練工によって再現。運針の細かさには目を見張るものがある。この一枚のシャツからは、ブランドが歩んできた道程の正しさと、今後も変わることはないという明確な意志が感じ取れる。
オフィスのドレスコードが急激にカジュアル化している昨今、必要なのは実用性を備えた快適なデイリーウエアだ。そういった意味で、マーガレット・ハウエルのタイムレスなアイテムは、いまのムードとも親和性が高いだろう。
ブランド50周年を記念して、マーガレット・ハウエルと映像作家エミリー・リチャードソンが手を組んだスペシャルムービーも作成された。デザインのあれこれを言葉にするのは難しいからと、これまた彼女らしい理由だ。半生を振り返るような内容で、ブランドの哲学や歴史がまとめられている。なにより、彼女の日常がちらちらと垣間見えるのがうれしい。こちらも併せてチェックしたい。
【素材】コットン
【問い合わせ先】アングローバル
TEL:03-5467-7864