ショーン・コネリーのように艶っぽく着る、華やかな大人の...

ショーン・コネリーのように艶っぽく着る、華やかな大人のフォーマルウェア

文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一
イラスト:Naoki Shoji

第2回 「ターンブル&アッサー」のボウタイ

男子服の王者は何といってもイブニング・テール・コート(夜会燕尾服)である。これを着ると男たちは最も華麗な姿になる——と著書の中で書いたのは英国王室御用達のデザイナーであり、著述家のハーディ・エイミスです。燕尾服を着用する機会はなかなかありませんが、タキシードなどのフォーマルスタイルはいまでもメンズウエアの華と言えます。それを最も艶っぽく着こなしたのは、イアン・フレミングが創造した英国諜報員を演じたショーン・コネリーかもしれません。正式な催しに出席するのにはフォーマルスタイルのルーツがあるものです。「ブラックタイでお越しください」と書かれた招待状が届いたら、それはタキシードで出席しなければなりません。カジュアルなパーティでは趣向を凝らしたスタイルも楽しめますが、正式なパーティに出席しなければならない場面も必ずあるはずです。フォーマルウエアのドレスコードは知っていて損なことはないはずです。その歴史や謂れを辿りながら、フォーマルウエアについて勉強してみましょう。第2回はロンドンのジャーミンストリートに本店を構えるターンブル&アッサーのボウタイをピックアップしました。

「チャーチルドット」と命名された、ネイビーをベースにした水玉のボウタイとネクタイ。シルク素材はチャーチルが注文していたものを再現しています。シルクガウンも当時を再現したものです。チャーチルマニアならずとも垂涎のコレクションではないでしょうか。ボウタイ¥13,500、ネクタイ¥52,380、ガウン¥405,000/すべてターンブル&アッサー

最近、プレッピーやトラッドスタイルの復活もあってボウタイに復活の兆しが見られます。別名バタフライタイ、日本では蝶ネクタイ、あるいは蝶タイと呼ばれているネクタイです。ボウタイはプレッピー風の着こなしではカジュアルなアイテムに合わせることが多いですが、フォーマルウエアでも欠かせないアクセサリーです。イアン・フレミングが創造した英国諜報員、ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーがブラックのボウタイをしめて颯爽と登場するシーンは、多くの人の記憶に残っているでしょう。

また、英国でこのボウタイをこよなく愛したのが英国首相であったウィンストン・チャーチルです。彼の場合はフォーマルだけでなく、スーツでもよくこのボウタイをしめていましたが、英国紳士のボウタイ姿も洒落ているものです。チャーチルがボウタイだけでなく、シャツやガウンまでも仕立てていたのが、ロンドンのジャーミンストリートに本店を構えるターンブル&アッサーです。チャーチルをはじめとしてウィンザー公、チャールズ皇太子などの英国王室からジェームズ・ボンドまで、世界の紳士たちから支持された名店です。

ちなみにチャーチルが愛用したのがネイビーをベースにした水玉のボウタイです。紳士の名店らしく、ターンブル&アッサーには大小さまざまな水玉の柄が用意されていますが、チャーチルが愛用した水玉は「チャーチルドット」と呼ばれています。今年、チャーチルが愛用したボウタイが当時の素材、仕様のまま復刻しました。ボウタイだけでなく、ネクタイ、シルク素材のガウンまで揃っています。これでポル・ロジェのシャンパンを呑み、ロメオ・Y・ジェリエッタのシガーでもくゆらせれば、気分はすっかりチャーチルにです。

最初から結んだ形につくられたタイプではなく、自分で結ぶようにつくられています。これも老舗らしいデザインです。サイズを調整するバンドが赤いところも洒落ています。

ネクタイは同ブランドのオーダーネクタイと同じく、「セブンフォールド」と呼ばれるもので、生地を7回折ってつくられています。裏側にはボタンが付いて、ここを開けるとたるみ糸を操作することができます。

1855年創業のターンブル&アッサー。多くの紳士が通う名店ですが、現在はチャールズ皇太子からロイヤルワラント=王室御用達の称号を授かっています。

問い合わせ先/ヴァルカナイズ・ロンドン️ :TEL.03-5464-5255

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