スティーブ・マックイーンが愛した大人の定番。
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一第1回 「バラクータ G9」編
50歳という若さでこの世を去って38年が経ったいまでも、スティーブ・マックイーンは私たちにとって、永遠不滅のスタイルアイコンです。まさに、「キング・オブ・クール」。端正な顔立ちとルックスのよさ、映画のなかでスーツからカジュアルまで見事に着こなす彼の姿に誰もが憧れました。そんな彼が愛したワードローブの中から5アイテムを厳選して紹介します。第1回はマックイーンといえばこれ、といっても過言ではない「バラクータ G9」です。
マックイーンは1930年にインディアナ州で生まれました。17歳のとき、米海兵隊に入隊。その後俳優の道に進みます。代表作に『荒野の七人』(60年)、『大脱走』(63年)『華麗なる賭け』(68年)、『ブリット』(68年)など、遺作は『ハンター』(80年)で、80年に癌で他界しました。マックイーンがスタイルアイコンとして世界的に認められるきっかけとなったのが、有名カメラマン、ウィリアム・クラクストンが撮った写真集です。60年代の彼のプライベートな姿を収めたもので、何冊かバージョン違いで発売されていますが、『STEVE McQUEEN』(TASCHEN)の表紙でマックイーンが着ているのが「バラクータ G9」です。当時、彼はサンフランシスコの「ケーブルカークロージャーズ」というメンズショップの上顧客でした。この店は西海岸には珍しく英国製品を多く扱っていましたので、もしかしたらこの店でこのジャンパーを手に入れたのではないでしょうか。
「バラクータ」は、1937年、英国のマンチェスター近郊で誕生しました。創業者はジョン・ミラー。英国陸軍の軍用ジャンパーをお手本に防水、防風に優れたジャンパーを開発しました。その代表作が「G9」で、「G9」の「G」はゴルフ、「9」は9番目につくられことを意味します。
「ドッグイヤー」と呼ばれる襟元、ラグランスリーブ、アンブレラカット、ニットのカフなどのディテールから裏地のフレーザーチェックの仕様まで、どれだけ多くのブランドに模倣されたことでしょう。ちなみにマックイーンは『華麗なる賭け』でも、ネイビーのこのジャンパーを着用しています。フェイ・ダナウェイとサンドバギーを乗るシーンです。フロントを襟元まで締めていますので、チェックが見えるのはわずか。映画をご覧の際にはお見逃しなく。
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