グラフィックデザイナー・永井ミキジが偏愛する"C級スニーカー"を語る。
“C級スニーカー”とは、デザイナーの永井ミキジさんが名付けたひとつのジャンルだ。それが自身のスタンダードになって早20年が経つ。たとえば、Aというスニーカーがナイキなどメジャーブランドのヴィンテージだとすると、Bは店で買えるその現行モデル、Cはまったく知られていないマイナーブランドや一般的には出回らない企業の支給品だ。きっかけは、20代の頃に経済的な理由で欲しかったA級スニーカーに手が届かず、リーズナブルなC級スニーカーを手に取ったこと。
「気がついたら世間で知られていないスニーカーばかりを集めるようになっていました。ファッションに詳しい人からも『そんなの見たことない』と驚かれて、ますますスニーカーのコレクションが加速していき、これが自分の中では価値になるんだと確信しました。C級スニーカーは流行とは関係のない場所に存在しているけれど、デザインとして優れているものもあり、その裏に込められた製作意図も興味深い。メジャーブランドのスニーカーもいいけど、限定品やコラボモデルだとどのようにアップデートしていくか先が見えてしまうからつまらない」
自身で見出した喜びに出合うため、これからも探索は続く。
※Pen2020年9/15号「あたらしい定番と、自分のための定番」特集よりPen編集部が再編集した記事です。