写真:宇田川 淳
Vol.48 巨匠ピエール・エルメが、日本ファッションとコラボ! 笑顔を誘う、楽しい服と小物ができました。
グレースウェットシャツと白Tシャツの胸には、カタカナで「ピエール・エルメ」のネームが。ユーモラスなこれらの服には、なんとも不思議な魅力があります。それは、一流パティシエの名前がもつ力でしょうか。もしくは、日本語を服に使うトレンドを巧みに捉えたセンスにあるのでしょうか。その秘密を探っていきましょう。
ともに2018年11月に東京にできた、「Made in ピエール・エルメ 丸の内」のオリジナルです。この店は、スイーツのマカロンを我が国に広めた立役者でもあるピエール・エルメが、敬愛する日本各地の生産者とコラボした商品を集めた新業態のコンセプトショップ。服にも使われたロゴをディレクションしたのは、人気グラフィック・デザイナーの平林奈緒美です。掲載の服が洒落て見えるのは、細幅フォントを縦書きに組んだタイポグラフィーによるところ大でしょう。
さらに注目なのは、服そのものが日本の最良のモノづくりであること。スウェットシャツの製造は「ループウィラー」で、Tシャツは「KUME.jp」です。ループウィラーは、旧式の吊り編み機で編んだ柔らかいスウェットシャツの代名詞的なブランド。KUME.jpは、半世紀以上に渡りTシャツをつくり続けてきた久米繊維のブランドです。日本が世界に誇る“衣” と、フランスの “食” とが結びついたコラボレーションなのです。生活に密着した食が勢いを増すいま、ファッションもこの分野と連携することで、新たな道が開けるのかもしれません。