圧倒的スケールを誇る、アメリカの世界遺産をいくつ知っているか?

圧倒的スケールを誇る、アメリカの世界遺産をいくつ知っているか?

文:稲石千奈美

雄大な自然や、自由を勝ち取った歴史をもつアメリカ。そんな超大国が誇る、圧巻の世界遺産を見よ!


発掘が続く、先プエブロ族の居住遺産(メサ・ヴェルデ国立公園)

©Sipa USA/amanaimages

「移民国家」といわれるアメリカの政治や国民分断の原因のひとつが、皮肉にも移民問題だが、この国にとって「移民」とは誰か。メサ・ヴェルデ国立公園は1978年にユネスコが初の世界遺産指定をした12の遺産のひとつ。6世紀から700年間にわたり先住民プエブロ族が暮らしたメサ・ヴェルデ。最初の600年は岩棚の上で暮らしたが、12世紀末には、突き出した岩の下にあるくぼみを切り出して居住を始めた。西部開拓時代に多くが破壊された遺跡だが、ここでは現在でも600を超える岩窟居住跡が保存されている。


自由と平等、民主主義誕生の地(独立記念館)

photo: AGE FOTOSTOCK/Aflo

国会議事堂に乱入があり、国中がゆさぶられた超大国アメリカ。深刻な国家分断、構造的人種差別、移民問題に直面するいまこそ、国家の誕生や憲法の歴史と意義を改めて考えたい。アメリカ合衆国誕生の地として知られるフィラデルフィアの独立記念館は、1776年7月4日、13州植民地の代表者が集会し、独立宣言書に署名したヒストリカルな議事堂だ。続いて独立宣言が行われ、87年には憲法成立に署名。当時、フィラデルフィアは首都としても機能した。万人で尊重されるべき自由と平等、人権が謳われた史実の価値を実感する。


地球形成の謎を解く? 世界最長の洞窟(マンモス・ケーヴ国立公園)

©Alamy/amanaimages

アメリカの大自然国立公園はグランドキャニオンやイエローストーンが有名だが、マンモス・ケーヴ国立公園には世界最長といわれる洞窟が存在する。場所はケンタッキー州、大阪市ほどの面積の国立公園の地下に潜む鍾乳洞は、複雑に入り組んだ路で構成されている。660m以上が調査済みだが、いまも研究は続く。地下の洞窟探索はガイド付きのツアーがあり、地上ではカヌーやキャンプが楽しめる。地質学、生物学的に貴重な研究素材が残されている洞窟は、その価値から世界遺産とともに、国際バイオスフィア保護区にも指定されている。

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