「和のゐ 角館」で、土地の記憶を伝える3つの蔵に泊まる。

「和のゐ 角館」で、土地の記憶を伝える3つの蔵に泊まる。

写真:藤井浩司(TOREAL) 文:真下武久

秋田藩主・佐竹氏の直臣だった西宮家の敷地内にある、武士蔵とガッコ蔵へと続く門。武家町らしい黒板塀と秋田杉がゲストを出迎える。隣には西宮家の母屋がある。

三方を山に囲まれ、南に仙北平野に向かって開けた秋田県・角館は、黒板塀で覆われる通りに沿って重厚な武家屋敷が立ち並ぶ城下町。藩政期と変わらぬ街並みがそのまま残ることから「みちのくの小京都」とも呼ばれ、街はいまでも武家屋敷が並ぶ「内町」と、かつて町人たちが暮らしていた「外町(とまち)」に大きく分かれる。昔ながらの街には蔵も多く残され、地元の調査団体によると100棟前後の蔵が点在するという。そんな角館の歴史ある3つの蔵を改装したホテルが「和のゐ 角館」だ。

1919年築の武士蔵の扉は、特別に黒漆喰で塗られたもの。金具には西宮家の家紋をモチーフにした取っ手が付けられ、往時がしのばれる。

扉を入ってすぐの土間に鎮座する鎧兜。その他、駕籠(かご)や日本刀、陣幕といった武士の暮らしを感じさせる調度品がディスプレイされる。

掘りごたつ式の囲炉裏を中心とした居室。左の壁には西宮家の家紋をあしらった陣幕を、右のたんすには樺細工に関する道具を展示。

天井に梁が大きくせり出した2階寝室。飾られた書は改築前の蔵に保管されていたもの。「方城」は西宮家の雅号だと推察されている。

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