「nendo」が、母校の早稲田大学のラグビーユニフォームをデザイン!その奥に秘められた意味とは !?
デザインを職業にしている人に詳しく話を伺うと、多くの人が共通して言うことがあります。それは、「絵を描く作業は仕事のごく一部で、完成までのプロセスやシステムづくりを行うのが主たる作業である」ということ。製品として世に出た完成品は、多くの時間の積み重ねによって生まれたものです。
佐藤オオキさん率いるデザインオフィス「nendo」がこのたび、「早稲田大学ラグビー蹴球部」のブランディングを担当することになり、その一環としてデザインしたユニフォームのお披露目を兼ね、4月に記者発表が行われました。2018年に創部から100周年を迎える名門のラグビー部ですが、近年はその栄光も過去のものとなり、大学日本一の座を手にすることができませんでした。人気選手の出現により世がラグビーブームを迎えている中で、早稲田大学は一念発起してカリスマ的存在である山下大悟さんに監督就任をオファー。彼の強力な推進力により、各方面から早稲田大学出身のスタッフが集結。その中でも大きな役割を果たすキーパーソンになったのが、在学時代にボート部(漕艇部)に所属していたスポーツマンでもある佐藤オオキさんでした。
重要な役割は、新しいユニフォームをデザインすること。見た目のカッコよさや優れた機能をもつ服で選手のモチベーションをアップさせ、メンタル面を強化することが、フィールドでの活躍につながります。そのことをよく知る山下監督の理解があり、モダンなユニフォームが誕生しました。ストレッチ素材を使い、体にフィットしながらも動きやすくなっています。複雑なグラフィックが配置され、伝統的なボーダーを踏襲しつつも、これまでのものとは一線を画す仕上りです。
実はこの仕事に至ったプロセスづくりが、華やかなユニフォームの奥に隠されたもう一つの “デザイン” です。ライバル大学と比べて予算が少ない現状を打破して必要な投資をするために、クラウドファンディング会社の「ミュージックセキュリティーズ」と「nendo」との共同サービスのウェブサイト、「finan=sense.(ファイナンセンス)」を通じて資金を募集。金額の大小に応じて出資者は特典を受けられ、将来的には会員だけの特別な会合を行うなどのいろいろな計画があります。説明のための資料づくりなども含め、これにかかっている労力はかなりのものになるそうです。
ほかに集まったスタッフには管理栄養士やレスリングのコーチなどがおり、選手の身体も大きくなり体力面も強化されました。「早稲田が強くなれば、日本のラグビー界全体への貢献になる」という理念も有するラグビー部。この改革の中に息づくさまざまな人々の関わりにも目を向けてみてはいかがでしょうか。(撮影、文:高橋一史)
早稲田大学ラグビー蹴球部
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