グスクの中でくつろぎ、琉球文化を体感できる「星のや沖縄」
もしも海岸沿いにグスクがあったならば──。沖縄本島での開業地を長年探していた星野リゾートが、「奇跡的に残っていた」という沖縄の原風景にインスピレーションを得たところから「星のや沖縄」の構想が始まった。そもそもグスクがなにであったかは、聖域や有力者の居城、集落など諸説あるが、石や石壁によって囲い守られた場所であり、そこで琉球の生活や文化が育まれていたことをうかがい知る。浮かび上がったコンセプトは、「グスクの居館」。豊かな琉球文化を守ってきたグスクの中で暮らす。そんな唯一無二の世界観をつくり上げ、読谷村(よみたんそん)の自然海岸沿いに、待望の開業を果たした。
琉球の礼装をモチーフにした制服を纏ったスタッフに迎えられ、最初に足を踏み入れるのは、深海のような紺碧に包まれたレセプション。威風堂々たる構えの壁を目の前にした途端、古のグスクの世界へと引き込まれる。
緑豊かな果樹園や畑が広がる敷地内には、約1㎞におよぶ細長い海岸線をなぞるように低層階の客室棟を設け、周囲の自然環境に溶け込むようなランドスケープを成している。あえて人工的なビーチ開発はせずに、南国の植物が自生する自然のままの浜を残した。