オリンピック開催前に『スポーツ・グラフィック』展で予習を!

オリンピック開催前に『スポーツ・グラフィック』展で予習を!

写真・文:はろるど

浅葉球、飯高健人、石井伶の3名のデザイナーによるGOO CHOKI PAR(グー・チョキ・パー)の『東京2020公式アートポスター/パラリンピアン』。展示には40名(組)以上のデザイナーらが出品。監修と会場構成を浅葉克己と浅葉球が担当している。

スポーツが呼び覚ます高揚感や迫力、さらにアスリートの動きの美しさを表した『スポーツ・グラフィック』。1970年代以降のスポーツイベントやブランド、さらに広告などを目的に制作された写真やイラストレーションなど120点を紹介する展覧会が、ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて開催されている。

まず会場を彩るのは、札幌や長野の冬季オリンピック、世界卓球選手権大会といったスポーツの祭典のためのポスターだ。また日清食品による『大坂なおみ選手グランドスラム連覇おめでとう』など、近年目覚ましい日本のアスリートの国際的な活躍を表した作品も見過ごせない。そして開催を間近に控えた東京オリンピック・パラリンピックに関するのが、デザインユニットGOO CHOKI PARの手掛けた『東京2020公式アートポスター/パラリンピアン』だ。パラスポーツの複数の競技を鮮やかな色面や抽象的な構図を用いて描いている。いずれも躍動感のあるデザインで、スポーツが生み出す喜びが伝わってくる。

単にスポーツのポスター展と思っていると、良い意味で期待を裏切られるのではないだろうか。何しろ1階展示室に入るといきなり目に飛び込んでくるのは卓球台だからだ。ただよく見ると一方のコートが丸いことに気づく。これは障がいの内容によって長方形の同じ卓球台も異なったカタチに見えるという、パラ卓球選手の抱える世界を再現するために作られた特別な台なのだ。そして実際にラケットを手にして試すこともできて、より動かなくてはいけないなどプレースタイルの違いが分かる。さらに地下のフロアには、グラフィックデザイナーの福田繁雄によるアスリートのフィギュアが登場。ボールを見逃すバッターやゴルファーがパットする瞬間などを象った赤、黄、紫、緑の4体の彫刻が並んでいる。スポーツをユニークに造形化した作品として面白い。

この他にも横尾忠則がISSEY MIYAKEとコラボしたブルゾンや、俳人の榎本バソン了壱が「競い合う敗者がありて輝きけり」や「ゴールして天に弓引くボルトかな」といったスポーツの世界観を詠んだ俳句も展示されていて、思いがけないほど盛り沢山な内容となっている。自らの健康や活力を育むだけでなく、プロもアマを問わずに観戦すれば最高のライブイベントと化すスポーツ。それをグラフィックを通してエキサイティングに表現したデザイナーやアーティストらの豪華な競演を楽しみたい。

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