アアルトの家具もアラビアの食器も!『フィンランド・デザイン展』で知る北欧スタイルの系譜。
今年、独立100周年を迎えるフィンランド。誰もが一度は目にしたことがある、けしの花をモチーフとしたマリメッコのウニッコのテキスタイルや、つららを思わせるイッタラの美しいグラスシリーズ「ウルティマツーレ」、ムーミンの愛らしい柄が描かれたシンプルで機能的なフォルムのアラビアのマグ……。フィンランドのデザインは、なぜこれほどまでに人を惹き付けるのでしょうか? そんな素朴な疑問に、実物を鮮やかに見せながら答えてくれる展覧会『フィンランド・デザイン展』が府中市美術館で開催中です。
1917年にロシアから独立したフィンランドは、長らくスウェーデンやロシアに支配されてきた歴史があります。そのため、19世紀末にヨーロッパ各地で民族意識が高まった際、郷土に根ざした力強い感性が、アイデンティティとして芸術活動に積極的に取り入れられました。また、北欧諸国の中でも特に貧しかったことや、長く厳しい冬を家の中で過ごさなくてはならないことも、日常生活で長く使える機能的なデザインが生まれる背景になりました。素朴で明るく、シンプルでありながら大胆なデザインの数々には、フィンランド人が愛してやまない森と湖が織りなす、美しい四季も反映されています。
本展では、フィンランド・デザインの歴史を、19世紀末の民族意識の高まりである「ナショナル・ロマンティシズム」の台頭から、黄金期と言われる1950年代〜60年代、現代までの6つの時代に分け、それぞれの時代を象徴するデザイナーやアーティスト、また彼らの活躍の場となった企業を取り上げ、代表作とともに紹介しています。
展示されているのは、アルヴァ・アアルトの椅子やカイ・フランクのテーブルウェアなど、いまも暮らしの中で愛され続けているデザインや製品ばかり。美しさに加えて、使い手にとって快適であることや現代的な思考を大切にするそのデザインは、フィンランドという国のあり方そのままを体現しているようです。会場を彩る心地よいデザインを、堪能してみてください。
『フィンランド独立100周年記念 フィンランド・デザイン展』
開催期間:2017年9月9日(土)~10月22日(日)
開催場所:府中市美術館
東京都府中市浅間町1-3
TEL:03-5777-8600
開館時間: 10時~17時 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(10月9日を除く)、10月10日
入場料:一般¥900
http://finnish-design2017.exhn.jp/index.html