エスケープに訪れたい、ストックホルムの街中に佇むオーベルジュ
こんにちは。TRUNK(HOTEL)の野尻佳孝です。今回から、世界のホテルを紹介する連載を始めます。
これまでに私が訪れたホテルは2000軒以上あり、その中から特に皆さんにお伝えしたいホテルを月2回の更新でお届けします。独自の切り口で赤裸々に語ります。ぜひ、旅の参考にご覧いただければと思います。
よく聞かれる質問で、「どこのホテルが一番好きですか」というのがあります。
一番は決められない…のですが、確実に候補にあげるのはストックホルムにあるエトヘム(Ett Hem)です。
デザインはNYのSOHO HOUSE の内装デザインを手掛けたイルゼ・クロフォード(Ilse Crawford)で、1910年に建てられた邸宅をオーナー夫妻が2006年に購入し、6年もの歳月をかけてていねいに、ていねいにホテルにコンバージョンしたそうです。
都心にあるオーベルジュとも言える感じで、こんなホテルが東京にあったらエスケープしに頻繁に訪れたいと思います。食事をする場所はいろいろなところから選べて、どこも雰囲気は最高。実際、私たちも中庭のテラス、コンサバトリー、キッチンの前で食事を楽しみました。
会議室があるので仕事にも使えるし、小さなラウンジはいつでもくつろげる空間になっています。ラウンジや部屋、レストランのあらゆるところに綺麗な花が毎日生けてあるのは、ホテルで働いているフラワーデザイナーの技。毎日装飾を変えているのが印象的だったので質問してみたら、毎朝市場に買いに行くとのこと。やっぱり生花は素敵だし、ホテルにはフラワーデザイナーは必須だと確信しました。
地下のフロアに貸切ができるスパがあるのですが、ヨガもトリートメントもできるし、数名が寝られるホットベッドもある。ドライサウナが設置されていて、サウナーの私としてはとても有難いスペースでした。
12部屋すべてがスイートで、インテリアデザイン、家具、アメニティ、備品、グラフィックなど、すべてにオーナーのこだわりを感じ、センスの良さが伺えます。もともとのオリジナルの状態がどんなだったのか、そこからイルゼ がどんなプレゼンをオーナー夫妻にしていまにたどり着いたのか、とても気になるところ。
先述した花も素敵ですが、ウェルカムフルーツやラウンジのおやつなどにもこだわりがあり、ただセンスが良いだけでなく細部にわたり上質なおもてなしも兼ね備えています。
料理人含めてホテルスタッフがたくさんいて、オーナーと一緒にすべてをゼロから手づくりしている感じがオーベルジュ的で、居心地をよくさせてくれる要因のひとつなのだと感じます。
ちなみに、Ett Hemとは「家」という意味だそう。
Sköldungagatan 2, 114 27 Stockholm