ビデオ「オスジェメオス:秘密」第1部より、自らのスタジオにつくった列車内を模したセットで、ヒップホップのDJやダンサーらと対談。 ©Pinacoteca de São Paulo
サンパウロ出身の双子のグラフィティ・ユニット、オスジェメオスの大規模展覧会が昨年10月に始まり、コロナ禍で3度中断されながらも、人気の高さゆえに2度延長し、今年8月9日までサンパウロ州立ピナコテカで開催している。
6月10日からは、展覧会に合わせて制作されたドキュメンタリー映像「オスジェメオス:秘密」全4部が、随時公開中だ。ふたりの創作に密着した展覧会のメイキング映像かと思えば、1980年代から現在にいたるサンパウロのヒップホップシーンを紹介する内容となっている。
80年代半ば、まだ10代前半だったふたりは、出身のサンパウロ市カンブシ地区の年長者らに導かれて、アメリカから訪れたばかりのヒップホップにのめり込んだ。年若のBボーイとして自分たちのTシャツにイラストを描いたのが、グラフィティに傾倒するきっかけだった。
展覧会会場で空間作品『正門』に立つオスジェメオスのパンドルフォ兄弟。Photo by Levi Fanan
ビデオ「オスジェメオス:秘密」第1部より、サンパウロの80年代ヒップホップの映像が楽しめる。第4部は、7月1日公開予定だ。©Pinacoteca de São Paulo
ドキュメンタリーは、ヒップホップをブレイクダンス、DJ、MCそしてグラフィティの4つの要素で構成されるカルチャーだとし、それらにおける先駆者や仲間らとオスジェメオスが対談する内容だ。
「展覧会の企画段階から、国内のヒップホップの功績者を紹介するインタビュー映像を撮ることを考えてたんだ。カンブシでの少年時代に熱中したヒップホップからの学びや歴史を共有したいんだ。アートには社会を変える力があると僕たちは信じているからね」とオスジェメオスはコメントしている。
彼らは、バンクシーなど世界的なアーティストとコラボする前から、いつも地元のグラフィティ仲間とともに活動してきた。グラフィティを改めてヒップホップの一部と位置づけ、音楽やダンスのアーティストを映像で紹介することで、オスジェメオスの率いるムーブメントはその輪をますます大きく広げていきそうだ。