特に所得が高い人は、要注意だ。年収1000万円あれば、ゆとりがあると考えがちだが、2つの勘違いからお金を使い過ぎている傾向にある。まず1つ目の勘違いは、「収入アップ=手取りアップでない」ことだ。収入がアップしても、手取りはそれほど増えない仕組みになっているのをご存じだろうか? 日本の税制は、累進課税方式なので、税率も上がるからだ。さらに社会保険料の負担も重い割に年金も増えない。収入がアップしても手取り額で考えると、実はあまり増えていない。
2つ目の勘違いは、「年収が今後も減らないと思い込んでいる」ことだ。新型コロナの影響で、会社の業績が大幅に悪化していれば、賃金カットは、あり得ることだろう。現在の年収を前提に住宅ローンを組んでしまうと年収が下がった時に家計は破綻してしまう。
では、家計を健全化するには、どうしたらいいのか。優先順位を考えてみることだ。子どもをどうしても私立に通わせたいのなら、思い切って家を住み替える。大胆な発想だか、固定費を大きく削減することができる。ただしマンションだったらよいのだが、注文住宅で趣向をこらしてしまうと逆に売却できなくなるケースもある。例えば、元プロバスケットボール選手のマイケル・ジョーダン氏のシカゴの大豪邸が何年も売れていないのもその例だ。
家が売れないのだったら残る道は、コツコツ節約していくことだ。もちろん車は、売却して携帯電話も格安スマホに変える、子どもの習い事を減らす、電力会社を変えるなどなど、節約できるところは、たくさんある。筆者も子ども達を私立に入れるのに学費を試算した段階で家計的に厳しいと感じた。当時の世帯年収が1000万円あったにもかかわらず、だ。
お金を貯められるマインドになるには「できない」と思わずに「できる」と思えるようになることだ。「コツコツ続けるのは、私には無理」なんて心のどこかで思っていないだろうか。加えて他の人と比べるのも良くない。スタートした時期が違っても比較にならないし、環境も違うのだから比べてもしかたがない。比べるのは、いつも自分自身だ。
赤字とオサラバして、お金が貯まる体質になるにはもっと単純で、確実かつ具体的な方法を伝授しよう。それはズバリ、先取り預金だ。「なぁーんだ!」と、思ったあなた。年収300万円で30代前半なのに1000万円貯めた人もやっているのは、先取預金だ。18万円の手取りから8万円を先取り預金して毎月10万円で生活して1000万円貯めた人もいる。そこまで出来ないにしても、毎月1000円でも良いので、コツコツ続けることだ。最初の10万円が貯まると達成感ができるし頑張ろうと思える。10万円貯まったら以前の自分よりも大きく違っている。最初は、10万円。次に50万円、100万円と小さくステップアップしていくことを意識することだ。
そして、必ずお金持ちがやっていることは「資産表」を作ることだ。資産がゼロというあなたは、簡単な表を作り目標とする資産額も書き入れるいい。そして今日現在の総資産を書き込む。それを毎月繰り返すのだ。ある程度、貯金ができたら、資産運用にトライして欲しい。資産運用、つまり投資は自己責任なので他人に教えてもらって、できるようになるのではなく、教えてもらったことを自分で実践して自分で判断できないといつまで経っても、自分でできるようにならない。
もちろん投資した資産も毎月記録する。「資産表」に書き込んだ総資産の変化を記録していくことによって、自分がドンドンお金持ちになっていくのを確認できるのだ。お金の居場所を変えるだけで、資産が増えていくのは、眺めていてもワクワクするものだ。
【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。